ウォズの願い「アップルとグーグルが互いに協力してほしいなぁ」という記事を読んで思ったこと。ウォズは、かつてスティーブ・ジョブズと一緒にアップルを創業。稀代のテック・ギークとして、テクノロジーに明るいことでも知られている。
彼は、こう指摘する。
「例えばさ、「Joe’s Dinerに行って」とSIriに言うでしょ、するとさ、SiriはJoe’s Dinerを知らないっていうことがあるんだよね。さらに、そういう場合大抵Androidは知っているわけ。それこそが、たぶんコンピューターにとってより賢くなるための、より性能の高い人工知能のための未来への鍵だと思う。だからこそ、将来的にアップルとグーグルが連携してくれればと神様に願う気持ちだよ。」
これはさすがの指摘だと思う。彼の思い描くように、アップルとグーグルが連携すれば、世の中もっと便利になるに違いない。
そして、思ったこと。これって分散と集中の話だなあと。
ウォズのSiriの例は、”インターネット的”な考え方に近い。インターネットの場合、TCP/IPという共通言語のもと、お互いにつながっている。そして、たとえば、Yahoo!にたどり着くために、まず、ISP-Aにいって、ISP-Aに到達性がなければ、ISP-B経由で到達する仕組みになっている、そういう意味では、ウォズのSiriの話と全く同じであり、全員が分散しながら協調する、世界に類のない規模の分散協調システムともいえる。
ただ、問題点は、グーグルとかアップルのような飛び抜けた存在がでてくると、そこにトラフィックが集中する。Googleの全サービスに影響する障害が発生、世界のネットトラフィックは40%減少という指摘もあり、世界のトラフィックの40%がグーグルかどうかはさておき、世の中の多くの情報がグーグルに”集中”しているのは間違いない。そして、一度、情報が集中すると、そこに価値が生まれ、自社で囲い込もうとする。ということで、分散協調システムというよりは、集中モデルになりがちになる。
たしかに、集中モデルは便利なんだけど、結局のところ、サービスをしているのは1社だけなので、競争原理が働きにくくなり、ユーザにとって便利なことだけど、実現できていないということはよくある。まさに、ウォズにSiriの話は、ユーザにとって便利だけど、アップル、グーグルとしては情報を集中したいので、やりたくないだろう。
この手の集中と分散の話は正しい解はなくて、時代が流れるにつれて、つねに集中と分散が繰り返される。いまはどちらかと言うと、分散から集中になりつつあるような気がする。その時々のタイミングを見計らって、ビジネスチャンスを見つける。おそらく、集中の場合のビジネスモデルは、集中しているサービスを売る、シリコンバレーの企業で、Googleに買ってもらうために起業するというのは、毀誉褒貶はあるものの、一つの集中のビジネスモデルだと思う。でも、それは永遠に続くわけではない。機を見るに敏、そうした変化をとらえることが一番難しくかつ大事なことだと思いました。