松方コレクション展

8月 7th, 2019 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (松方コレクション展 はコメントを受け付けていません)

 さて、アポの間に時間があったので、上野の国立西洋美術館松方コレクション展にいってきました。あまり絵は詳しくはないのですが、松方コレクションを扱った原田マハ「美しき愚か者たちのタブロー」が面白くて、いつか行かねば、と思っていきました。

 川崎造船の社長であった松方幸次郎が20世紀初めにロンドン、パリで集めたコレクション、モネ、ルノワール、ゴッホをはじめとした当時では世界有数の規模でしたが、関東大震災後の昭和恐慌、戦争等でコレクションが散逸。戦後、吉田茂のタフネゴによってフランス政府からの寄贈返還が決まり、今回はオルセー美術館所蔵のゴッホ「アルルの寝室」もお目見えでした。

 吉田茂は、当時フランス所蔵の松方コレクションの寄贈返還のネゴのさい、「返してほしい」とは言わず、日本にフランス文化を宣伝するいい機会だ、というネゴでこのコレクションの寄贈返還が決まったといいます。で、そこから60年経ちましたが、いまでもこれ当てはまりますね。

 ここのところ、パリにいく機会がないですが、コレクションからパリの華やかさが伝わってきて、パリに行きたくなりました、いつか凱旋門賞と一緒にオルセーも行きたいですね。ま、自分は絵はあまりよくわかりませんが、日本酒・ワインと同じでその背景を知ると深みが出てくるというか、知るのが楽しくなりますね。

 さて、ビジネスという点から、もう一点。3年近く前ですが、倉敷の大原美術館にいきました。大原美術館も松方コレクションと同じ時期、印象派の画家と直接コンタクトして絵画を集めます。で、前者の松方コレクションは散逸、後者の大原コレクションは無傷とはいかないまでも残りました、関東大震災、昭和恐慌、太平洋戦争、条件はほぼ同じで、この差はなんだろうと。

 自分の仮説は、レバレッジだと思っています。松方幸次郎は、コレクション購入に際して自宅を担保に出す、さらには母体の鈴木商店から借り入れるなどレバレッジを効かせたといいます。一方、大原コレクションの場合は、大原家が児島虎次郎という岡山出身の画家のパトロンとして、そこまでレバレッジを効かせずコレクションを集めたという理解です。

 ただ、松方コレクションのおかげで国立西洋美術館が完成し、こんな素晴らしいコレクションをみる機会があるので、どちらがよいかは難しいですね。いずれにせよ、身の丈を知り、レバレッジを抑えるというのはビジネスという観点からは重要かなと思いました。

要領が良い人と悪い人

10月 21st, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (要領が良い人と悪い人 はコメントを受け付けていません)

先日、ある方と”要領のよい人”について話して、いろいろ得ることがありました。

 ま、要領が良いか、悪いかといえば、当たり前だけど良い方が良いことは間違いない。つまり、どんなことにあたっても、卒なくこなす、これが一般的な要領の良い人だと思う。

 で、自分はここ2年間くらい、エンジニア向けにデータサイエンスの授業をやっていますが、その中で必ず登場するのが、正規分布。ま、正規分布をザックリいうと、世の中の事象はだいたい平均に収斂するという考え方。こうしたザックリした考え方なので、ランダムウォークっぽい事象をモデル化したり、わりと便利な考え方です。

 そして、この要領が良い人は、おそらく、正規分布っぽい考え方をしているような気がします。世の中、何が起こるかわからない、でも、2σ(±5%くらいで起こる確率)、3σ(±0.03%くらいで起きる確率)は滅多に起きないので、それを排除して、一番、起こりやすいことに選択と集中する、だから、省エネできると。

 でも、思うのは、世の中、要領が良い人ばっかりだと、結局のところ、平均に起きることばかりを考えてしまうと言えるかもしれない。むしろ、絶対起きないと思われる2σ、3σを考える”要領が悪い人”も必要かもしれない。というわけで、結論、やっぱり、要領がいい人だけではなく、要領が悪い人、両方、必要かもしれない。

 最後に告知。ここ2年間、データサイエンスの授業をやってきましたが、参加者を中心にデータサイエンス友の会という集まりを10月26日開催します。誰でも参加可能で、まだ、参加OKのようです。ご興味があればぜひ!

https://www.impressbm.co.jp/event/datascientist201610/society.html

テンセントとはいかなる企業か? 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威

6月 20th, 2016 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (テンセントとはいかなる企業か? 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威 はコメントを受け付けていません)

Screenshot of www.sbbit.jp

連載中の世界ハイテクウオッチにテンセントの記事を寄稿させていただきました。

>テンセントとはいかなる企業か? 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威
http://www.sbbit.jp/article/cont1/32290

Twitter,Facebook,Linkedinに起きている10の最近の変化

1月 28th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (Twitter,Facebook,Linkedinに起きている10の最近の変化 はコメントを受け付けていません)

USのオンラインメディアFastCompanyで、”10 Big, Recent Changes To Twitter, Facebook, And Linkedin You Should Know About ”(Twitter, Facebook, Linkedinにおきている10の最近の変化)として、10の変化を上げている。今後、どう変わるかを見極めるのに役立ちそうなので、アップデートします。

1.Twitter rolls out new design - Twitterがモバイルにあわせた新しいデザインを導入。左サイドメニューからナビゲーションができるようになった。

2.Twitter emphasizes images even more – Twitterが画像をさらに強調するようになった。

3. Facebook changes its algorithm–again – Facebookがアルゴリズムを再び変更。Facebookha,ニュースフィードのランキングアルゴリズムを変更。とくに、メディアからのクオリティが高いニュースを優先的に表示するように変更。その変更理由について、Facebookの発表では、

Why are we doing this? Our surveys show that on average people prefer links to high quality articles about current events, their favorite sports team or shared interests, to the latest meme.
(なぜ、こうした変更をするのか? 一般的なユーザは、好きなスポーツチーム、興味のあること、などに対する質の高い記事を好む傾向があるという調査結果が得られた

という。

4.Twitter adds photos to DMs - TwitterのDM(ダイレクトメッセージ)に写真を入れられるようになった

5.Twitter adds promoted accounts to mobile timelines - Twitterのモバイル版のタイムラインにプロモーションアカウント(広告用アカウント)を入れることができるようになった。

6.Facebook and Twitter help advertisers measure conversions – FacebookとTwitterでは広告主がコンバージョンを計測しやすくなった。
 Facebookでは、”measurement partner”と呼ばれる広告主が、カスタムオーディエンスを送信し、Facebook上でキャンペーンをし、Facebook上でその効果がわかるというもの。カスタムオーディエンスについては、3つのイノベーションで“復活”するフェイスブック、その収益力は本物か?に書いたのでご参照ください。

 Twitterも同じようなアプローチで、1.Twitterのプロモーションアカウントでプロモーション、2.ユーザがそのプロモーションを通じて商品を購買、3.どのTwitterユーザが購買したのか、広告主はコンバージョンレポートで閲覧することができる、というもの。

7. Twitter offers tailored audiences to advertisers - Twitterがテイラーメードの広告を提供
 5.に似ているアプローチで、あるTwitterユーザが、ハワイのホテルのウェブサイトを見るとする。そのウェブサイトに広告を表示するアドパートナーはTwitterに、そのTwitterユーザがハワイのホテルのウェブサイトを閲覧していることを伝える。そして、そのユーザのTwitterタイムラインに、そのホテルのプロモーションツィートを表示する仕組み。

8.LinkedIn announces Showcase Pages for companies - LinkedInが企業向けにショーケースページをオープン
 いってみれば、Facebookの企業ページのようなイメージのショーケースページを作ることができるようになった。

9.Facebook updates its Page Composer - Facebookがページコンポーザーを更新
 ある特定の時間にポストできるスケジュール機能、複数の写真を一度に表示される機能など追加。

10.Twitter adds search filters on mobile - Twitterはモバイルでのフィルター検索機能を追加
 モバイルでの検索機能で、Phone,Videoなどのフィルターを追加。

総じていえば、かつて、Facebookが上場したときに、モバイルのマネタイズどうすんの?という話で、かなりリソースを投じて、モバイルのマネタイズを実現したように、今は、Twitterが、様々な手段を使って、マネタイズを強化しているといったところ。そういう意味で、メディアとしてのTwitterが盛り上がってくるのかもしれません。

Facebook HOMEをアンインストールした理由

5月 31st, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (Facebook HOMEをアンインストールした理由 はコメントを受け付けていません)

Facebook HOMEというアプリがある。このアプリがリリースされる前は、”Facebook Phone”とも言われていて、フタを開けてみると、”HOME”としてスマホをFacebook化するアプリが2013年4月にリリースされた。

自分もワケあって2カ月近くNexus7にインストールして、使ってみたけど、結論からいえば、イケてない。

なぜ、イケてないか? おそらく、それは自分のデジタルライフの中のFacebookに占める割合が低いからだと思う。

ざっくり言って、自分のデジタルライフ(=PC,スマホ、タブレットでネットを使う時間)は、30%:ウェブ(ブログ、ニュース、まとめサイトなど)、30%:メール・チャット、15%:動画、10%:Facebook、15%:その他、で、だいたいFacebookは1割くらいの比重でしかない。おそらく、これは今後も変わらないか、もしくは、また別のSNSが出てくれば、その割合は下がると思う。

一方、Facebook HOMEのアプローチは、スマホ・タブレットの”Facebook化”で、ホーム画面から何から何まですべてFacebookが中心となる。おそらく、デジタルライフのうち、Facebookの占める割合が50%以上であれば、そこそこ使えると思う。だけど、自分の場合、Facebook Messangerは使うけど、あくまでも、メールはGmailを使っているし、ウェブ閲覧もRSSリーダーとかFacebook以外のモノを使っているので、すべてを”Facebook化”されて、それ以外のアプリへの移動(使ってみるとわかるんだけど、Facebook HOMEでは他のアプリに移動するのが結構手間がかかる)に手間がかかるのでは、やっぱり、使いにくい。

かつて、3つのイノベーションで“復活”するフェイスブック、その収益力は本物か?にも書いたように、自分はFacebookのとくにモバイル領域でマネタイズする姿勢は、広告が多くてうざいと言われようが、正しい方向性だし、他の企業にとっても、このモバイルのマネタイズ化は学ぶところが多いと思う。たしかに、Facebook HOMEはイケてない、だからといって、Facebookは終わったというわけではない。むしろ、失敗を重ねて、さらに良くする(少なくとも他のアプリのとの連携ができれば、少しは使いやすくなると思う)、今後のFacebookの展開が楽しみです。

ソーシャルメディアストラテジストはいらない?

4月 6th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (ソーシャルメディアストラテジストはいらない? はコメントを受け付けていません)

ソーシャルメディアで売り上げを伸ばす?

自分の職分は、ある企業の企業価値を高めるために、その企業の売上を伸ばす、もしくは、コストを削減して、利益を増やすことをお手伝いすることです。そのなかで、どうやって売り上げを増やすか、ということで、やはり、最近、よく話題にでるのが、ソーシャルメディア。ソーシャルメディアを活用すれば、売上が増えるのでは?という話。これは、半分正しいけど、一方で、Facebook,Twitterを使うだけで、売り上げがあがるほど、世の中甘くないのは事実。

ソーシャルメディアストラテジストとは?

ソーシャルメディアをやれば売り上げがあがる”ソーシャルメディア神話”を真っ向から否定するのが、uber.laのこの記事

タイトルから刺激的で、”Death of the Social Media Strategist”(ソーシャルメディアストラテジストはいらない) 。自分の理解では、ソーシャルメディアストラテジストの職分は、Facebook,Twitterなどのソーシャルメディアにおいて、対象となる企業・個人の価値・プレゼンスをあげる(Facebookでは、いいね!の数を増やす、Twitterではフォロワーを増やすなど)こと。すなわち、いいね!、フォロワーが多ければ多いほど、そのフォロワーからのリーチが増える→企業であれば売上が上がるという、算段ともいえる。

顧客の購入の導線

 ただ、フォロワーが増えることが、売り上げにつながるかというのは、なかなか難しいし、個人的にも、やや疑問を感じている。それを示しているのが、上の図左の”Average Share of Marketing Budget”(平均的なマーケティング予算のシェア)、これは米国のものであり、すぐさま日本に当て嵌まるわけではないけど、企業のマーケティングの予算の多くは、メール、イベント/展示会、ダイレクトメール、一対一の面会、ダイレクトメールなどに費やされていて、ソーシャルメディアの占める割合は第6位の8%。その背景は、右図の、”online services most likely to influence a purchase”(実際の購入に影響を与えたオンラインサービス)として、1番は、企業のECサイト、あるいは、amazon.com、もしくは、日本ではkakaku.comのようなRetail Sites(小売サイト)と指摘する。やっぱり、実際に売っているサイトのレビューなどを見て、購入すると。

枝を見ずして、森をみる

 ここから言えること、やはり、”Death of the Social Media Strategist”はやや言い過ぎかもしれないけど、でも、ソーシャルメディアだけでは、売上は増えない。むしろ、本丸(Retail Sites)にアクセス・購入するためにFacebook・Twitterといったソーシャルメディアが”従”としてあり、ソーシャルメディアという”枝”ではなく、企業全体の戦略”森”を見て判断することが売上につながる、と強く思いました。