グルーポンとロケーション・モバイル

6月 30th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー - (グルーポンとロケーション・モバイル はコメントを受け付けていません)

前のエントリーでロケーション・モバイルが広がっていることを紹介したけど、もうひとつ最近思っていること。

それは、最近のグルーポン、英語版のグルーポンのメールを毎日受け取っているけど、たとえば、IT University Online – Online Deal(MSオフィスのトレーニングコース)のように、一回受けたら終わりのモノが多い。

これって、もともとのグルーポンの思想と違ってないか?というのが、最近、思っていること。

自分の理解では、グルーポンのもともとの思想は、”ローカルのプラットフォーム”、近くのレストランのクーポンをグルーポンのサイトで購入し、最初は割安で試せるけど、次からは常連となって、そのレストランの長期の収益に貢献する。グルーポンとしては、グルーポンでクーポンを購入する顧客にとっては、”近くにいい店を発見した、今後、友達を連れていってみよう”と次のきっかけになり、レストランとしても、新規顧客開拓になり、そして、グルーポンとしてもクーポンを購入してもらえるので、全員ハッピーになれる、理想的なビジネスモデルのように見える。そして、この”ロケーション・モバイル”という文脈からは、グルーポンほどふさわしいプラットフォームがないように見える。

でも、実際、グルーポンは、たしかに、地域にあわせたクーポンもあるけど、やはり、”1回きり”が多いようにみえる。

自分の理解では、結局のところ、グルーポンは“安売り”だからだと思う。安売り自体は全然悪くない、むしろ、同じもので値段が安ければ当然安い方を買うべきだと思う。

でも、グルーポンに掲載されているモノは、すべて安いとなると話は別だ。

レストランの場合、最初は安いかもしれないけど、次にいったら同じ値段で提供できるわけではない。安さだけを求めたら、顧客サイドとしても、”高いなあ”と思ってしまう。

そして、レストランとしても、ファミリーレストランのようなチェーン店は別だけど、”ウチは安いから来てほしい”と思うレストランはそれほどないはずだ。そして、安くしようとしたら、規模を拡大して、仕入れコストを安くするみたいな話になるので、結局のところ、ファミリーレストランに収斂すると思う。

そう考えるとグルーポンという仕組み、”安い”を目当てに購入する顧客・運営サイドと、安い以上のモノを求める店舗サイドとの間にギャップがあるように思う。だから、オフィス講座のような”1回きり”もしくは”在庫処分セール”が主流になるんじゃないかと。それはそれで、クーポンサイトの一つの歩む道かもしれない。

Groupon,Pinterest,Foursquareはどこにいった?

4月 1st, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (Groupon,Pinterest,Foursquareはどこにいった? はコメントを受け付けていません)

前回取り上げたPheedのように、たくさんのソーシャルメディアサイトがサービスを開始している。そして、もちろん、人間の活動時間は1日24時間と決まっているので、既存のSNSにくわえて、さらに、新しいSNSを利用するとなると時間が足りなくなってしまう。となると、必然的に”最後にログインしてからだいぶ経ってる”ソーシャルメディアが必然的に増えてくる。

Inc.誌の記事 That’s So 2012: Have Pinterest, Foursquare and Groupon Peaked? (Pinterest, Foursquare, Grouponは2012年がピーク?)によれば、この3つのソーシャルメディア(Groupon, Pinterest, Foursquare)が、”最後にログインしてからだいぶ経ってる”モノだと指摘する。

グルーポン(Groupon): 中小企業にとっては使いづらい?

 日本でもポピュラーになったグルーポン。最低クーポン枚数を販売する必要があるため、ネットでそのクーポンを”拡散”する。
グルーポンの問題は何か?やはり、一度きりで終わってしまうこと。とくに、中小の飲食店にとって、一度しか来ない顧客のために、あえてグルーポンへ手数料を払うのはリスクになると。
逆に、日本の場合、”一度きり”を活かした通販系が多いように思うので、活路があるとしたら、”一度きり”を活かす道だと思う。
拙著「スマートフォンビジネスモデル」では、グルーポンの次のビジネスモデルとして、Groupon Rewards(オンラインポイントカード、特定の店舗で、クレジットカード決済するとポイントがたまり、アイテムと交換できる仕組み)を挙げたけど、 “finding merchants willing to discount their products through Groupon will be a challenge.”(グルーポンを通じてディスカウントを提供したいと思う店舗を探すのはチャレンジ)と指摘するように、楽ではなさそうだ。

ピンタレスト(Pinterest): ボードを作って満足?

 ピンタレストは、オンラインキュレーションサービスの走りとして公開されたサービス。ユーザは、気に入った画像や自分で撮影した画像をボードとよばれるスクラップ画面に張り付ける(ピンする)、そして、ピンすることによって、自分ならではのボードを作成し、キュレーション(展示)するサービス。Inc.誌いわく”it was just too easy for users to lose interest. I came, I pinned, I conquered–now what?”(ユーザがすぐに興味を失ってしまう。サイトに入って、ピンして、完成される、それで?)と手厳しい。

フォースクエア: チェックインは当たり前?

フォースクエアは、携帯のGPS機能を使って特定の場所でチェックインする、そして、そのチェックインの数に応じて、メイヤー(市長)であったり、バッジをもらえたり、”位置”を活用したいわゆるジオメディアの先駆け的存在。メイヤー(=ロイヤルカスタマー)には、特別ディスカウントなどのキャンペーンもあるものの、やはり、

These days, however, you can check-in from almost any social media platform, so the big dogs Facebook and Twitter have eclipsed foursquare.
(最近では、どのソーシャルメディアでもチェックインができるようになった、とくに、Facebook、Twitterの大手がチェックインを導入しており、フォースクエアの影が薄くなった)

という指摘が的を射ていると思う。

グルーポン、ピンタレスト、フォースクエアの共通点と模倣困難性

 この3つのSNSが今後ダメになるのか、あるいは、息を吹き返すのか、それはわからない。でも、3つに共通している点は、おそらく、マネしやすい点にあると思う。フォースクエアのチェックインも、ピンタレストのピンも、グルーポンのクーポンも比較的簡単にマネができる。一方で、Facebook、Twitter、あるいは、eBayの決済(paypal)、Googleの検索は、ほぼマネできない。経営学者のジェイB・バーニーは、企業競争優位の一つとして、”模倣困難性”を挙げているけど、マネできないことに企業の優位性があると思う。グルーポン、ピンタレスト、フォースクエアが、さらに磨きをかけて、模倣困難なサービスを打ち出すことを楽しみにしています。