いつもモノを考えるとき、フレームワークという考え方を使って考えることが多いです。
フレームワークの意味は”枠組み”、ある物事を枠に当てはめてみると、その物事がよりよく理解できるという話。
もちろん、枠に当てはまらないモノもあるけど、だからといって、フレームワークが使えないという話でもない。
そして、自分がいつも使っているフレームワークが、”アンバンダリング”という考え方です。
アンバンダリングとは
アンバンダリングとは、マッキンゼーのコンサルタントジョン・ヘーゲル三世の提唱した概念で、世の中のすべてのビジネスは1.製品イノベーション、2.カスタマーリレーション(顧客管理)、3.インフラ管理、の3つに分別することができ、それぞれをごっちゃまぜにすると結局誰をターゲットにした製品・サービスかわからなくなるので、”アンバンダリング”(分離)すべしという言説。
簡単に言うと、”お客様は神様です”という2.カスタマーリレーションのビジネスモデルを標榜しながらも、”これからエッジのある製品を出したい”という1.製品イノベーションのビジネスモデルは確実に同居しない。”お客様は神様です”のビジネスモデルは、お客様のよろこぶサービスを、お客様に併せて提供することであり、それと”エッジのある製品”とはよほどのことがないかぎり重なることはない。それで、3つのビジネスモデルの特徴は以下。
1.製品イノベーション
魅力的な新製品や新サービスを提案して、それをマーケットに送りだすこと。たとえば、アプリ開発は、“こんなアイデア面白い”というアイデア勝負のところがあって、このアイデアは、顧客管理業務から生み出されるというよりも、むしろ、個々の開発者のひらめき、センスに負うところが大きい。成功要因は、スピード、できるだけ早くマーケットに出すこと。
2.顧客管理
顧客を見つけ出して、この顧客とリレーションシップ(関係)を築き上げること。たとえば、ウェブサイトで何かしらの製品資料をダウンロードする場合、たいていの場合、連絡先を要求される。これは入力された連絡先に定期的にコンタクトすることによって、顧客とのリレーションシップを築こうとする目的があるから。成功要因は、スコープ、顧客に気に入った製品を提供するためには、顧客の興味を絞る(スコープ)必要がある。
3.インフラ管理
すでに製品があり、顧客もついているビジネスにおいて、そのビジネスを安定的に運用すべく、製品の流通、在庫管理などのロジスティクスなどの設備を構築し、管理すること。成功要因は、スケール、すなわち、規模を拡大し、1単位当たりのコストを抑えること。
アンバンダリングと中小企業
このアンバンダリング、大企業だけの問題かといえば、自分の経験でいえば、小さい企業もかなり同じことが当てはまると思う。たとえば、これまでお客様は神様ですとばかりに2.顧客管理を提供していたものの、これからはグローバルにプラットフォームを展開するということで3.インフラ管理に転換しようとすると、とんでもないコストがかって事業として成り立たないというのはよくある話。(ただ、それで事業として成立するかしないかは、マネジメントの胆力だと思う、ただ、両方を満足することはできないので、取捨選択は必要)
スマートフォンビジネスモデル
というわけで、自分はこのアンバンダリングというフレームワークでビジネスをまず考えます、そして、スマートフォン業界において、このアンバンダリングという視点から整理したのが、去年上梓させていただいた「スマートフォンビジネスモデル」です。よろしかったら、ご笑覧ください。
図解スマートフォンビジネスモデル 長橋 賢吾 秀和システム 2012-09 |