最近、おもうこと。
最近は、あらゆる分野でパーソナライズが進んでいる。
たとえば、グーグルでは、検索履歴から、自分が次に検索したいものを自分の嗜好にあわせて、提案してくれる(パーソナライズ)。
検索する本人にとっては、「あ、これで検索しようとおもっていた」ということで、提案の精度が高ければ、良いことだ。
そう、デジタル化の進展でパーソナライズが進んでいるけど、世の中すべてがパーソナライズするのだろうか?
先日、そんなことを考えては、「まあ、そうかもね」と、もやもやしていた。
で、先日、元ミュージシャンで気の合う仲間と話していて、こんな問いをぶつけてみた。
「音楽をライブで聴くお客さんって、性別も違えば、年齢も違えば、趣味・嗜好も違う、そんななかでどうやってお客さんを満足させることができるの?」
彼は、こう答えた。
「お客さんに自分の思っていることを問いかけをして共感してもらう。そして、熱意を伝える。それで、会場が一体になる。たとえば、矢沢永吉のコンサートに一回行ったら確実に共感できる。ビジネスとしたら、次の日、熱意が冷めやらぬうちにファンクラブの勧誘をするのがよい。」
なるほどなあと思った。
パーソナライズというのは、言ってみれば、”お客様第一主義”的な発想だと思う、すなわち、ユーザのことを考えて、ユーザが心地良いものを提供する。
そして、その対極にあるのが、このライブ。アーチストが”熱意”を伝えて、その熱意に観客が惹きこまれる。
たぶん、このライブは、”体験”ともいえると思う。
かつて、スティーブ・ジョブズは、自分の世界観がグレートだと信じて、シンプルな自分の世界観をiMac,iPhoneなどのプロダクトに託した。そのプロダクトには、彼の世界観しか投入されていないので、余計なことは何もできない、伝記によれば、彼はApp Storeさえも最初は反対したとか。そのおかげでセキュリティは保てる。それは置いといて、アップル製品が魅力的なのは、スティーブ・ジョブズの洗練された”体験”をユーザが追体験できるからだと思う。
この”体験”はパーソナライズというよりは、むしろ、”オレの世界観を味わってくれ”といったトップダウンではないと面白くない。ビジネスでよくあるのは、色々な人の話を聞いて、それを反映した結果、”妥協の産物”っぽくなってつまらない製品・サービスになってしまうというのは枚挙にいとまがない。
というわけで、結論。
たしかに、パーソナライズというのはいろいろ便利だし、これからもパーソナライズは増えると思う。
でも、全部がパーソナライズされるわけではない。
むしろ、パーソナライズ化が進んだ結果、”オレノ世界観を味わってくれ”という経験の方が新鮮というケースもあるし、こういうサービスももっと増えてもいいと思う。
そう、やっぱり、パーソナライズ万能ではなく、経験も重要ってことです。