“下請け”というビジネスモデル

12月 6th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (“下請け”というビジネスモデル はコメントを受け付けていません)

最近思うこと、以前は、”下請け”というと、お客さんから言われたことをやっている”業者”だと思っていたけど、最近、思いを変えるようになりました。

もちろん、下請けの定義は、たとえば、システム開発企業であれば、案件を持っている元請けからプログラミング、テストなどの業務の一部を受注し、それをこなす。日本のシステム開発企業の場合、建設のゼネコンのように、一次受けが注文を受けて、それを、2次受け、さらには、3次受け(4次受けはあるのだろうけど、自分の感覚ではあまりない)まで、すそ野を広げる。

いうまでもなく、こうした構造のなかで、一番偉いのは”元請け”(通称、プライムコンダクター)、直接、お客さんと話して、予算などを”握る”、大規模システム開発でいえば、富士通、日立、NEC、NTTデータ、IBMがビック5と言われ、メガバンクなど規模が大きいシステム開発案件のプライムコンダクターとなるのが一般的だ。

それで、プライムコンダクターにぶら下がる2次受け、もしくは、3次受けの”業者”は単なる”下請け”なのか。

自分の理解では、たかが下請け、されど、下請け、なんだと思う。

結局のところ、下請けのビジネスモデルは、元請の要求する仕様に従って、設計・開発・テストする、いってみれば、”受け身”のビジネスともいえる。

ただ、常に”受け身”でいいかといえば、そうでもない。

たとえば、通信、5年くらい前であれば、携帯電話の組込ソフトウェア開発が盛んで、こぞって、下請け会社は、携帯電話会社からのシステム開発会社からの案件を受注した。でも、それから5年、時代はスマートフォンになっていて、アプリ開発などはあるものの、携帯会社にあわえて組込ソフトウェアを開発する需要は劇的に減った。

すなわち、ずっと組込ソフトウェアの受託開発を”受け身”でやっていれば、あっという間にビジネスが先細りしてしまう、だから、”下請け会社”のビジネスモデルは、機を見るに敏たるべく、これから開発が増えそうな分野にシフトする、すなわち、”受け身”でありながらも、積極性が求められるビジネスともいえると思う。

証券アナリストをやっていたとき、いくつかの上場している”下請け”会社をカバーしていて、そのとき、とくに海外投資家からは、”下請けは価値をうまない”といわれて相手にされないことも多かったけど、最近思うこと、それは、たとえ、”下請け”であっても、ビジネスの変化に合わせなければいけないこと、そして、その”変化への対応”が経営の力だと思います。

売上が減る場合にしてはいけないこととすべきこと

11月 9th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (売上が減る場合にしてはいけないこととすべきこと はコメントを受け付けていません)

最近思うこと。

いうまでもなく、会社を経営するにあたって重要なのは、売上を増やして、コストを減らすこと。

これは当たり前なんだけど、とても難しい。

とくに、難しいのは売上を増やすこと。自分では売上を増やしたいけど、こればっかりは相手がある話なので、そうやすやすと売上が増えるわけではない。で、どうしたら売上が増えるか?まず、やっていけないことをあげたい。

売上が減る場合にしてはいけないこと、それはたった一つで、”何もしないこと”

これも当たり前なんだけど、やはり難しい。

たとえば、自分の知っている例では、システム子会社。システム子会社は、その名の通り、親会社がそれなりに大きく、情報システムを開発・運用するにあたって、システム子会社を作る。システム子会社の役割は、親会社の情報システムの開発・運用をすること。なので、取引先は、親会社のみの場合が多く、”何もしなくても”食べていくことができる。

これはこれで悪いという話ではないし、システム子会社を否定するわけでもない。むしろ、全部、大手にアウトソーシングするよりは自社でコントロールした方が効率的な場合もある。

ただ、問題があるとすれば、やっぱり、”何もしなくても”食べていくことができること。これは親会社の業績が未来永劫順調と仮定すれば、”何もしなくても”食べていくことができる。ただ、世の中、何がおこるかわからない。順調だった親会社が突然何かの拍子で業績が傾き、システム子会社の面倒を見れなくなる、ということも確率としてはゼロではないし、それなりにこうしたケースはある。

そういうわけで、何もしなくても売上があがるビジネスの場合、一度、ハシゴを外されると、そのダメージは大きい。


じゃあ、どうするか?

なるほどなぁと思ったのが、泉井純一氏の成功手法。彼は、昭和40年代終わりにガソリンスタンドを経営していて、かなり儲けていた。そこで、自動販売機ビジネスに手を出したものの、”餅は餅屋”で、失敗し、ガソリンスタンドはすべて他人の手に渡り、一文無しに陥る。一文無しでも彼は、縁のある人に500円の醤油引換券を送る:

縁のある人には必ず贈り物をする。その身分に贈るのではない、その人に対して贈る、という信念だけは、曲げずにいました。だから贈る人数は増えるいっぽうで、百人くらいにはなっていました。だから一人5百円でも全部で5万円になる。そのカネがない。そんな自分がまた、惨めに思えてなりませんでした。
ところがその5百円の醤油券ががまた、僕が再出発するきっかけになりました。
「夢のまた夢 ナニワのタニマチ」p97

その贈り先の一人のシェル石油の課長から、彼が生活に困っているのではないかと察し、余っているところから石油を集めて、シェル石油に卸すという救いの手を差し伸べる。結果、彼は、このビジネスで大成功し、バブルのなかで、大儲けして、相撲などのスポーツ界の”タニマチ”となる。ただ、脱税と贈賄罪で1996年、逮捕、懲役2年の実刑判決を受ける。

彼のタニマチの部分はともかくとして、”縁のある人を大切にする”という姿勢は学ぶところがあると思う。

やっぱり、”縁”は、何かしらの必然性があって、”結び付けられた”のであって、やっぱり、それを大切にしないといけないと思う。そして、”何もしない”と確実に縁は生まれない、だからこそ、”縁結び”をすべく、外に目を向けることが重要かもしれない。

というわけで、売上が減ったらどうするか? ”縁のある人を大切にする” これは一つのアプローチだと思いました。

ウォズの願いとインターネット的なモノ

11月 7th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー - (ウォズの願いとインターネット的なモノ はコメントを受け付けていません)

ウォズの願い「アップルとグーグルが互いに協力してほしいなぁ」という記事を読んで思ったこと。ウォズは、かつてスティーブ・ジョブズと一緒にアップルを創業。稀代のテック・ギークとして、テクノロジーに明るいことでも知られている。

彼は、こう指摘する。

「例えばさ、「Joe’s Dinerに行って」とSIriに言うでしょ、するとさ、SiriはJoe’s Dinerを知らないっていうことがあるんだよね。さらに、そういう場合大抵Androidは知っているわけ。それこそが、たぶんコンピューターにとってより賢くなるための、より性能の高い人工知能のための未来への鍵だと思う。だからこそ、将来的にアップルとグーグルが連携してくれればと神様に願う気持ちだよ。」

これはさすがの指摘だと思う。彼の思い描くように、アップルとグーグルが連携すれば、世の中もっと便利になるに違いない。

そして、思ったこと。これって分散と集中の話だなあと。

ウォズのSiriの例は、”インターネット的”な考え方に近い。インターネットの場合、TCP/IPという共通言語のもと、お互いにつながっている。そして、たとえば、Yahoo!にたどり着くために、まず、ISP-Aにいって、ISP-Aに到達性がなければ、ISP-B経由で到達する仕組みになっている、そういう意味では、ウォズのSiriの話と全く同じであり、全員が分散しながら協調する、世界に類のない規模の分散協調システムともいえる。

ただ、問題点は、グーグルとかアップルのような飛び抜けた存在がでてくると、そこにトラフィックが集中する。Googleの全サービスに影響する障害が発生、世界のネットトラフィックは40%減少という指摘もあり、世界のトラフィックの40%がグーグルかどうかはさておき、世の中の多くの情報がグーグルに”集中”しているのは間違いない。そして、一度、情報が集中すると、そこに価値が生まれ、自社で囲い込もうとする。ということで、分散協調システムというよりは、集中モデルになりがちになる。

たしかに、集中モデルは便利なんだけど、結局のところ、サービスをしているのは1社だけなので、競争原理が働きにくくなり、ユーザにとって便利なことだけど、実現できていないということはよくある。まさに、ウォズにSiriの話は、ユーザにとって便利だけど、アップル、グーグルとしては情報を集中したいので、やりたくないだろう。

この手の集中と分散の話は正しい解はなくて、時代が流れるにつれて、つねに集中と分散が繰り返される。いまはどちらかと言うと、分散から集中になりつつあるような気がする。その時々のタイミングを見計らって、ビジネスチャンスを見つける。おそらく、集中の場合のビジネスモデルは、集中しているサービスを売る、シリコンバレーの企業で、Googleに買ってもらうために起業するというのは、毀誉褒貶はあるものの、一つの集中のビジネスモデルだと思う。でも、それは永遠に続くわけではない。機を見るに敏、そうした変化をとらえることが一番難しくかつ大事なことだと思いました。

オフィス移転・自社ビルで業績が落ちるのはなぜ?

10月 31st, 2013 | Posted by admin in 経営 - (オフィス移転・自社ビルで業績が落ちるのはなぜ? はコメントを受け付けていません)

Facebookに投稿したら、いろいろな有益なコメントをいただけたので、まとめてみました。

はじめに、これは、一般的な話であって、特定の企業の話ではありません。

アナリストのとき、不思議に思っていたこと。それは、ある企業が、最新鋭の豪華なオフィス、あるいは、立派な自社ビルを建てると業績が落ちる会社が多いこと、もちろん、例外はあります。

一般的には、良いオフィスに引っ越す→社員の士気があがる→それに従って業績も伸びる、と考えられるのだけど、意外と業績が落ちる企業があって、いままで不思議に思ってました。

それで、最近、思っているのは、これって謙虚さの問題なのではないかと。

結局のところ、ビジネスは泥臭い。どんな企業であっても、1円でも多く稼ぐために、お客さんが喜んでもらえるように工夫して、期待に応えるように精一杯尽くす。そして、次のオーダーがもらえるように、お客さんに粘って、這いつくばる。まさに、事件は現場で起こっているのであって、会議室では起きていない。やっぱり、泥臭くないビジネスはあり得ない。

で、自分の仮説では、豪華なオフィス、立派な自社ビルに移ると、”俺たちはすごい”とばかりに、こうしたお客さんのために粘って、這いつくばる姿勢が、知らず知らずのうちに失われるのではないかと。そして、その積み重ねが業績の悪化につながると。

という意味では、オフィス移転、自社ビルを建てることは悪いことではなく、むしろ、たとえ豪華なオフィスに移転したとしても、”常にお客さんに尽くす謙虚な心”、をキープするほうが重要なのかもしれない。

まあ、システム開発のような、お客さんとの接点がそれほど多くない職種の場合は、なかなか難しいところもあるかもしれないけど、やはり、マネジメントの気持ちの持ち様ともいえるかもしれない。

それで思い出したのが、最近、読み返した稲盛さんの本。こんな一節があって、目から鱗が落ちました。彼は、”会社というものはトップの器以上には大きくならない”として、ではどうやってトップの人格を高めるかについて、こう指摘する

 そこで私は、「人のために尽くす」ということを経営の基本におき、人格を磨かれたら良いと思います。たった一回しかない人生です。その人生を二十数店舗、売上わずか20数億円で終えるより、「同じ一生なら、もっと多くの人から喜ばれるよう経営してみよう」と思い、経営するのです。
 実は、人間が一番強くなるのは、執着から解脱した時なのです。「儲けたい」、「偉くなりたい」、これはみな欲望です。もちろん、この執着、欲望から完全に抜け出すのは無理ですが、「人を喜ばすために」と考えれば、その分我良くが引っ込みます。心が高まっていくのは、実はここからなのです。 「新版・実践経営問答 こうして会社を強くする」 稲森和夫 盛和塾事務局(編)p31

儲けたい、偉くなりたい、豪華なオフィスに引っ越したい、誰にだって欲望はある。だけど、その欲望のまま突っ走ることが、お客さんの満足とは限らない。だからこそ、お客さんのために尽くす謙虚な心が大切と思いました。

Jリーグの経営学 2015年からのJリーグはどうなる?

10月 26th, 2013 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 - (Jリーグの経営学 2015年からのJリーグはどうなる? はコメントを受け付けていません)

先日投稿した横浜マリノスにみるJリーグの経営学に続いて、会社の経営戦略を普段考えている人間からビジネスとしてJリーグがどのように映るのか、第2弾です。今回は、2015年から導入されるJリーグの新しい制度についてです。

2015年から何が変わるのか?

今のJリーグ運営方式は、1年を通じて、18チームによるホーム&アウェー交互に34試合することで、最も勝ち点が多いチームが優勝。
一方、2015年からは、2015シーズン以降のJ1リーグ戦大会方式についてによれば以下、

■大会方式
18クラブによる2ステージ制リーグ戦および、スーパーステージとチャンピオンシップ。
〔リーグ戦〕
 各ステージ1回戦総当たりのリーグ戦。
両ステージでホーム&アウェイとなる
各ステージ17節、153試合(両ステージ合計306試合)
年間勝点1位のクラブはチャンピオンシップへ、各ステージ1位、2位クラブはスーパーステージに進出する

と、一番大きな変更は1ステージ制から2ステージ制に変更、そして、1.各ステージ上位2チームによるトーナメント戦スーパーステージ、2.年間勝点1位のクラブと、スーパーステージの勝利クラブによるチャンピオンシップがあわせて加わる。

2ステージ制によるインパクトは?

 Jリーグニュースによれば、

Jリーグは今回の変更によって、地上波のテレビ放送を含めた露出の拡大、全体収益の10億円以上の増加、新たなファンの獲得を想定している。

 増収10億円分の具体的な開示はないものの、少なくとも、2リーグ+スーパーステージ、チャンピオンシップによって、10億円の増収効果があると指摘。


2リーグ制は妥当な戦略か

この制度変更の目的は、いままでの1リーグ制を2リーグ制にすることで、ファンを増やす、テレビ中継の数を増やすことと思われる。
これはあえてたとえて言うならば、会社の決算に近いかもしれない。日本の上場企業の場合、年に4回決算を開示することが義務付けられている。
なので、上場企業にとっては3カ月ごとに決算を開示しなくてはいけないので大変だけど、その決算をビジネスにする会社がある。
その典型例は、証券会社。証券会社のビジネスは、いろいろあるけど、基本は投資家から株式の注文を取り次いで、売買を成立させる。そして、その出来高に応じて手数料を徴収するモデル。なので、売買高が多いとそれだけ手数料を多く徴収することができる。そして、会社の決算は、売買高を増やす意味では重要なファクター。
たとえば、ある会社が、決算で予想(コンセンサス)以上によい決算を出した場合、投資家はその流れに乗ろうということで、株を買う→売買高が増えると。

Jリーグにおいてもこのアナロジーは比較的当てはまるかもしれない。これまでのやりかたは1年に1回”決算”する方式、そして、2015年のやり方は1年に2回”決算”をするというやりかたと言えるかもしれない。そして、1年に2回決算をすることで、見せ場が増える、あるいは、”ウチのチーム、いままで、ずっと弱かったけど、次はかなり喰いこんできて、もしかしたら、優勝できるかもしれない”ということであれば、応援に俄然力が入る、それによって、離れたファンを戻すいいきっかけになるかもしれない。そういう意味では、1年に2回にすることは、妥当な戦略と言えそうだ。

2リーグ制のデメリットは?


一方、デメリットについては、サッカーキングによる記事J1が2015年より2ステージ制移行…そのメリット、デメリットとは?がよくまとまっていて、デメリットは、

1.1チームが両ステージ制覇の場合、どうするんだ問題
2.欧米のスタンダードではない問題
3.過密スケジュール問題
4.年間勝ち点1位のチームが日本一とは限らない問題

といったところだろう。

結論は?


 デメリットであげた不公平感、両ステージ制覇問題など、難しい問題はあるにせよ、2ステージ制は、決算のような”見せ場”を増やすという試みとして支持したい。
でも、結局のところ、”見せ場”が楽しめるかどうかは、やっぱり、人材、すなわち、日本に魅力的な選手がいるかどうかという点に尽きる。
企業においても、決算、業績の良しあしは、やっぱり、マネジメントと従業員によるところがほとんど、そして、よいマネジメントとよい従業員がいなければ、企業は存在しえない。
だからこそ、2015年の制度変更をきっかけに、日本のサッカーの人材の厚みが増すことを、1ファンとして強く望むところです。

「プログラミングなんて必修にしなくていい論」への反論

10月 20th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | プログラミングを考える | 経営 - (「プログラミングなんて必修にしなくていい論」への反論 はコメントを受け付けていません)

直接のご面識はないのですが、クレイア・コンサルティングの調 祐介さんが、ブログ記事「プログラミングなんて必修にしなくていい論」に、かつてこのブログに投稿したプログラミング科目を必須にすべき3つの理由をご紹介いただきました。どうした形であっても、取り上げていただけることは歓迎すべきことですので、まずは、御礼申し上げます。

 とはいうものの、タイトルは、”プログラミングなんて必修にしなくていい論”、以前、投稿した内容は、プログラミング科目を必須にすべきという主張なので、こちらと真逆の主張です。ただ、重要なのは、弁証法的というか、お互いの主張をぶつけることで、さらに議論を深めていくのは重要と思うので、あえて、”反論”したいと思います。

「プログラミングなんて必修にしなくていい論」

調さんの記事は、No–You Don’t Need To Learn To Code を基にしていて、とてもよく日本語にまとまっています。

このオリジナルの主張をかいつまむと、

・プログラミングすることは楽しい、でも、一人前になるためには、10年くらいかかるし、常に勉強しなくてはいけない。

・プログラミングは問題解決の道具に過ぎない。そして、プログラミングをマスターしたからといって、世の中のすべての問題を解決できるわけではない。もっとも大きな問題は人間の内部に根差した予測できない問題であることが多く、これはプログラミングでは解決することはできない。

・それでも、プログラミングに興味があるのであれば、かわって、プログラマーを理解すべき。プログラマーは、ビジネスミーティングなど”邪魔”されるのが何より苦手。だから、彼らを理解する、あるいは、ビジネスの言葉を彼らにわかりやすく翻訳することは大切。

・むしろ、プログラミング時代を学ぶより、ソフトウェア、ネットワークがどのようにして動いているのかをしることが大事。車の設計を知らなくても運転はできるけど、車の構造を知るとより深く対応ができるのと同じ。パイソンのコードなんか書くよりは仕組みを知ることのほうが重要。

・人生は短い、モノづくりはたくさんある、プログラミングだけがモノづくりじゃない、文章を書いたり、音楽を演奏したり、などやることはいっぱいある。何をすべきか賢く選択すべき。




職業としてのプログラマ

 筆者の主張はだいたい共感できるし、なるほど、と思われるところもそれなりにある。

ただ、筆者のスタート地点と自分のスタート地点は違っていると思う。そして、彼女のスタート地点は、”職業としてのプログラマー”ということだと思う。

 世の中には、プログラムを書いて、収入を得る、職業としてのプログラマが多数存在する。結局のところ、システムを作るうえで、プログラマは必須であり、インド・中国にアウトソーシングしているところもあるけど、日本国内においてもプログラマとして生活をしている人はたくさんいる。そして、自分の知ってるプログラマも、彼女が指摘するように、邪魔されるのを何よりも嫌うし、視野が狭いといわれたら、そうかもしれない。

プログラマというキャリア

結局のところ、これはプログラマとしてのキャリアはどうあるべきか、という話なのかもしれない。よく言われるのは、プログラマ35歳定年説。システム会社に新卒で入って10年くらいはプログラマをやるけど、10年くらい経過して、1.管理職へのシフト、2.新しい技術のキャッチアップの限界、3.体力的な限界、などで35歳がプログラマーの限界といわれている(ただ、これは前から言われていて、かつ、最近では、管理職はともかくとして、技術、体力はあまり関係ないようにも思われる)。

  35歳限界説はともかく、一生の仕事として、職業プログラマーができるか?という話だと思う。

自分の理解では、プログラマーとして生涯のキャリアを過ごせるかといえば、できるけど、すごく大変。たとえば、社会保険のシステムを作ったり、銀行のシステムを作ったり、大規模なシステムを作るにはプログラミングが当然必要。ただ、これは一人ではできない、だから、ゼネコンのように大きな会社が元請をして、2次、3次、場合によっては、4次くらいまで下請け(外注)を導入して、その下請けがプロジェクトの一部分だけのプログラミングを請け負う。こうしたスキームの場合、人月単価などから、生涯現役モデルは妥当ではないと思う。

 むしろ、生涯現役プログラマーモデルは、誰も正解がわからないものにチャレンジすることに価値があるように思う。かつて、自分が学生のころ、学術目的でIPv6のアドレス配布をやっていたことがあった。そのときに、いとぢゅんさんというIPv6を開発している天才プログラマーがいました。今でこそ、IPv6はそれなりに使われつつあるものの、当時(1998~2000年くらい)は、まだ実装も、ラフに決めた仕様書(RFC)があったくらい。そうした”未知”がたくさんあるなかで、彼は自分で一番シンプルな解法を探して、それを実装して、国際コミュニティに提案して、IPv6開発をリードしてきました。

 たしかに、マネジメントとかCEOとか関係ないし、プログラムですべてを解決することはできない、でも、未知のものをプログラムで形にしていく、そういう職業プログラマーはやっぱり必要だと思う。

プログラミングは必須にすべき?

 で、長くなったけど、本題。プログラミングは必須にすべきか?自分の意見は前と同じで必須にすべきだと思う。たしかに、職業プログラマーとしてやっていくのは、すごく大変。だけど、1.目に見えないシステムを理解すること、2.プログラミングのすそ野を広げること、そして、3.問題の切り分け能力を涵養すること、これはプログラミングから学ぶことも多いと思います。

という意味で、「プログラミングなんて必修にしなくてもいい論」の話に即すると、プログラミングを学習することで、システム、ネットワークといった仕組みを理解する手助けになると思う。そして、それがもとで未知の問題を切り開くプログラマーがでてくれば、日本にとってもとても良い話と思うのです。

Longine 10月投稿分

10月 14th, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (Longine 10月投稿分 はコメントを受け付けていません)

何度かご紹介させていただいている個人向け投資アイデアプラットフォームLongine、10月も幾つか投稿させていただきましたので、アップデートします。

過去最高益更新のミロク情報サービス(9928)の競争力とは。消費税増税はシステム更新を加速させるか
会計ソフトで有名なミロク情報の企業分析です。

ヤフー(4689)ショッピング出店無料化では楽天(4755)を簡単には崩せない
先日のヤフーショップ無料化に対する見解です。

登録すれば1週間無料で読めます。

ある京都の料亭と忘れられる権利

10月 12th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (ある京都の料亭と忘れられる権利 はコメントを受け付けていません)

先日、東京だけど、京都料理を食べる機会があったので、ふと思い出したこと。

ベースは東京なので、京都にいくことは、それほど多いわけではないけど、京都にいくと必ずと言っていいほど通う店があります。

何がきっかけで、その店を知ったのかは思いだせないけど、京都のただでさえ分かりにくい路地のさらに分かりにくいところにあり、最初の訪問は迷って30分もかかりました。

そんなひっそりした店だけど、味はすばらしい、季節ごとに活かした素材、その素材を活かす出汁、おかみさんのサービス、器、店の雰囲気、何をとっても言うことがなく素晴らしい店です。

で、その店、近年ミシュランに登録されたようで、一見さんが増えているという。店としても、顧客の拡大が見込めるので悪い話ではないと思う。

でも、この間、ひさりぶりに行こうと、食べログを見たら、”店の人が常連さんばかり贔屓している”みたいな書き込みがあって、その心ない書き込みにちょっとがっかりした。

その店は、初めていったときも、どんなときも、店の方が丁寧にお迎えいただき、帰る時も、路地を曲がるところまで、ずっとずっと手を振ってお見送りいただいて、いつも恐縮しているくらい。たしかに、何度も通っている人には積もる話もあるだろうけど、誰にでもきっちりサービスを提供するところです。

そういう意味で、”一見さんお断り”というのは、本当にクオリティの高いサービスを提供するには必要なことかもしれないと思いました。


そして、この話、ネットにも共通するところがあると思う。

現状のネットでは、自分の個人情報がネットに掲載されることがしばしばある。それがうれしいこともあれば、のせてほしくない情報がのせられることもある。とくに、検索大手グーグルの場合、情報削除に関しては保守的で、消してほしいとリクエストを出しても、なかなか消してもらえない。先の京都の料亭の話であれば、ミシュランに載せてほしくなくても、載ってしまう(それはそれで名誉だけど)ケースに似ているかもしれない。

やっぱり、世の中のあらゆる情報を検索できることはいいのだけど、”検索される側”としては提供したくない情報もあるし、”ネットはすべてオープンな世界なので、なんでもシェア”というのはありえない。

で、どうするか?一つは、EUのプライバシー保護議論で出ている”忘れられる権利”が一つのアプローチかもしれない。

忘れられる権利は、”個人データ管理者はデータ元の個人の請求があった場合に当該データの削除が義務づけらる権利”(Wikiより)であり、個人の請求で、その個人のデータを”忘れることができる”権利。

京都の料亭はわからないけど、すくなくとも、ネットで自分の情報が掲載されていて気持ち悪い、というのは、この権利が広まれば、もしかしたら、軽減されるかもしれないです。

ヤフー EC無料化にみるリーダーシップ

10月 9th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (ヤフー EC無料化にみるリーダーシップ はコメントを受け付けていません)

 ヤフー、EC無料化が発表されました。

 これはいろいろなところで論じられているので、多くを語る必要はないけど、自分はとても期待している、いままで、場所代を払わなければいけなかったものがタダになる。

 タダになることによって、いままでリーチできなかった人も、”ヤフーのECが無料だからやってみよう”という気になるだろうし、それによって、裾野が広がることはとても大切。一部には、消耗戦という見方もあるみたいだけど、下手に戦力の逐次投入をするよりは、一気呵成にシェアをとる方が兵法の理にかなっていると思う。

 さて、この話の本題、自分はむしろリーダーシップという点を評価したい。基本的に、こうした意思決定は、EC事業部にとっては、勘弁してほしい話だ。これまでの手数料の売上が激減してしまうため、トップセールスにしてみたら、これから何をよりどころにして売っていいか、わからなくなる。


 そして、会社のマネジメントとして、営業の力が強いマネジメントであれば、こうした決定はほぼ確実にしない。これ自体は普通の会社の意思決定なので、マネジメントがダメという話ではない。でも、それをあえて、取っ払って無料にしてしまう孫さんの実行力、リーダーシップだからこそできる話だろう。彼は、vodafoneのときも、6割勝てる見込みがあったので、買収したと言っていて、今回も同じ腹積もりなんだろう。

 それで思いだしたのは、GEの例。GEは、インダストリアル・インターネットにみるGEの経営力にも書いたように、いままでのハードウェア路線から、ソフトウェアもやろうとしている。

 もちろん、その意思決定にあたって、ハードウェア部門から反発もあったと思う、だけど、あえて、前に進むために、意思決定をした。もちろん、企業価値という観点からは、こうした意思決定は、最初は馬鹿げているかもしれないけど、あとあと、ターニングポイントになる場合が多い。もしかしがら、”馬鹿げた意思決定”こそ、世界を変えう上で重要なことかもしれない、と思いました。

 

 

オムニ・マネジメント 2013年10月号 「ビックデータ」活動最前線 に寄稿させていただきました

9月 27th, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (オムニ・マネジメント 2013年10月号 「ビックデータ」活動最前線 に寄稿させていただきました はコメントを受け付けていません)

一般社団法人日本経営協会の機関誌であるオムニ・マネジメント 2013年10月号 「ビックデータ」活動最前線に”経営者のデータ分析重視と、失敗を限定しない企業文化が重要”として寄稿させていただきました。

http://www.noma.or.jp/noma/omni-management/index.html