「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣

9月 18th, 2013 | Posted by admin in 経営

日経BP田島様より献本いただきました、ありがとうございます。

本のタイトルは、”「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣”、オリジナルのタイトルは、”The Startup Playbook: Secrets of the Fastest-Growing Startups from Their Founding Entrepreneurs”、言ってみれば、急成長した企業家が明かすスタートアップのプレイブック、といったところだろう。

そういうわけで、この本には、スタートアップで急成長した41人の企業家のストーリー、起業家へのアドバイスが収録されている。ただ、このアドバイス、人によってさまざまで、たとえば、取締役会に対するアドバイスとして、

取締役会は気にせず、顧客の方を向こう:あなたも社員たちも、取締役会を気にしないでいられるようになりましょう。いつも、「取締役会に喜んでもらうために、これをしなくちゃならない」などと言っていたら、この組織は取締役会を喜ばせるために存在しているのだ、という誤ったシグナルを送ることになります。あらゆる企業の目的は、顧客を喜ばせることです。その目的を達成しましょう。そうすれば、取締役会の機嫌もよくなるはずです。 スコット・ハイファマン(創業者:アイトラフィック、フォトログ、ミートアップ) (p164)

というアドバイスもあれば、

言いなりにならない取締役会をつくろう:私は古いものを壊すのが好きです。多くの新しいカクテルの多くが、そうやって生まれてきました。社外から来た人物で、四六時中あなたのことをほめたたえるなどということをしない人物が必要です(そんな人物が必要だと言うのなら、賞賛の声は会社のドアを開けた時に外に出ていき、社内に残らないようにしなければなりません)。取締役会も、会社のいうことを単に承認する存在ではなく、会社を振り回す存在でなければなりません。リサ・ガンスキー(創業者:オフォト)(p128)

というアドバイスもある。”船頭多くして”ではないけど、一つ言えるのは、この本のすべてのアドバイスを参考にして、起業しても、結局、妥協の産物になってしまって、よいプロダクトは生まれない気がする。

 だからといって、この本が使えないという話ではなくて、むしろ、本書冒頭にある

率直に言えば、会社とは人であり、出発点となるのはあなた自身だ。格言にもある通り、自分自身を率いることができなければ、他人を率いることなどできない。不快にも感じるかもしれないが、これは事実だ。会社の立ち上げを通じて、本当のあなたが暴かれることになる。古い自分はばらばらになり、新しい自分になることを強いられることも多い。ずっと続くような組織をつくる際には、中核となる目標や信念、方向性が必要だ。(p7)

 というわけで、アドバイスがバラバラになるのは、人それぞれ出発点が違うから。そして、出発点が違うからこそ、受け入れるべきアドバイスもあれば、受け入れるべきでもないアドバイスもある。

 たとえば、前述の取締役会だと自分としては、スコット・ハイファマンの”取締役会は気にせず、顧客の方を向こう”という指摘より、”言いなりにならない取締役会をつくろう”というリサ・ガンスキーの指摘の方が響く。それは、自分は経営をアドバイスするという立場から、いくつかの取締役会に出てきたけど、”言いなりにならない取締役会”にするのは楽ではない。ともすれば、形式だけで終わる可能性もある、だけど、”言いなりにならない取締役会”にするは、全員が緊張感をもって臨まないといけないし、取締役会に臨むにあたって、きっちりその会社のおかれている状況を誰よりも理解しなくてはならない。

結局、それは”やるしかない”。そして、本書は、きっちりやり遂げている人たちの”プレイブック”ともいえるかもしれない。

 もうひとつ、いいなと思ったのが、2度、3度と起業を失敗した人が多いこと、さっきのように、”やるしかない”のだけど、常にうまくいくとは限らない、2回、3回と失敗して、ようやく、マーケットのリーダーのポジションを手にした起業家が何人もいること。どんなに苦境に立たされても、Never Never Never Give upであきらめない。なので、これからスタートアップという人もおすすめだけど、現在スタートアップもしくはすべてのビジネスにおいて、心が折れそうな状況に置かれている、こんなときに、この本はピッタリだと思います。日本版もぜひ欲しいです。

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