著者仲間の川口宏之さんよりいただきました。ありがとうございます。
自分が初めて決算書を読むようになったのは、ドクター終わって、証券会社に入った2006年3月なので、もう7年近くたちます。
アナリストのころは、PL(損益計算書)が中心でBSはほとんど理解してなかったけど、経営管理をやるようになって、BSの重要性に気づいたり、たった7年の決算書の付き合いでも、いろいろな発見があります。それは、まさに筆者が指摘している
どのような役職に就いても、どのような業界に転職しても「決算書を読む技術」がムダになることは絶対にありません(p11)
という指摘は本当にそうだと思います。そして、どうやってその決算書を読むか。そのアプローチが、”数字の羅列にしか見えない決算書を、いったん図に置き換える”こと(p37)。そして、以下のように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務3表について、レベルに合わせた”図解”を提示するアプローチです。これによって、財務3表の関係(損益計算書の当期純利益が、貸借対照表の利益余剰金とリンクしているなど)が把握できるようになっています。
- 安全性が高い会社を見分ける(貸借対照表図解レベル1)
- 将来のリスクを嗅ぎ分ける(貸借対照表図解レベル2)
- 会社の実態をさらに詳しく把握する(貸借対照表図解レベル3
- 稼ぐ力のある会社を見抜く(損益計算書図解レベル1)
- 経営戦略を図で浮き彫りにする(損益計算書図解レベル2)
- 会社の将来の姿を見逃さない(損益計算書図解レベル3)
- 3つのC/Fの意味を知る(キャッシュフロー計算書図解レベル1)
- 3つのC/Fで会社のタイプがわかる(キャッシュフロー計算書図解レベル2)
- フリーC/Fで健全性をはかる(キャッシュフロー計算書図解レベル3)
ただし、財務3表は、あくまでも企業の経営状態を示したものだけであり、誰(銀行、お客さん、仕入れ先など)がどれだけ支払うかといった情報は記載されていない(ちなみに、上場企業が提出する有価証券報告書には、主な相手先別販売実績という開示事項があって、売上のうち10%を超える取引相手を開示しています、アナリストのときはこの情報がとても重要でした)。そこで、取引フロー図によって、A.顧客、B.仕入先等、C.投資先等、D.銀行・株主の自社を取り巻くステークホルダーのお金の動き、モノの動きを図示することで、「損益」と「収支」(会計上の利益とキャッシュフロー)の違いがわかります。
以上がだいたいのあらまして、ベーシックなところから始まっているけど、負債項目にある前受金の扱い(p63、流動負債は1年以内にお金を支払うものだけど、前受金は例外で先に代金を受け取る)など、会計をそれなりに知っている人でも、なるほど、と思わせるところが多い。そういう意味で、はじめて決算書を読む人にも、ある程度、決算書を読める人にも、それぞれ得るものがあるおススメの一冊です。
ビジネス基礎体力が身につく 決算書を読む技術 | |
川口宏之
かんき出版 2013-01-09 |