「現役87歳、トレーダー シゲルさんの教え」を読みました。この主人公のシゲルさん、19歳で株をはじめて、投資歴68年、資産は18億円で、約80銘柄について、毎月6億円の売買をおもにデイトレしているそうです、いやはや、世の中にはスゴイ人がいるものですね。
この本ではシゲルさんのトレード方法についてかなり踏み込んで開示しています。が、「自分もこのやり方でシゲルさんのように18億円資産を作るぞ!」と思って、この手法を真似るのは、やめておきましょう笑 というのは、その手法は、手数料が安い信用取引のデイトレで、しかも下がったらナンピンしろと汗 というわけで、素人が、これと同じことをしたら、火傷どころか、致命傷を負ってしまいます。
なぜ、この手法がシンドイのか、自分の理解では、オプションのプット売りと同じ話で、マーケットが凪の状態であれば、そこそこ儲かる手法だと思います。ただ、xxxショックというような、全く予兆もなく、マーケットがクラッシュするときがあります(ブラックスワン)。近年だと、コロナショック、東日本大震災、リーマンショック、ITバブル崩壊あたりでしょうか。この手のショックによって、そこそこの儲けが一瞬にして吹き飛ぶ、どころか、一気に損失がかさみ、退場するケースもあります。なので、個人的には、シゲルさんが、68年のなかで、どのようにこの手のショックを乗り越えてきたか興味がありました、が、あんまり書かれてないんですよね。
で、自分なりに想像するに、経験と勉強の2つの要素が大きいと思います。まず、一つ目は、経験、シゲルさんがデイトレする銘柄は約80銘柄、その多くが何十年もトレードしつづけたと言います。やはり、それだけ長くトレードしていれば、このマーケット環境だと、どの筋がどのように売ってくる、この決算のタイミングだと、この筋が買っくるみたいな、ポジションが想像できるのではないでしょうか。ゴルフのホームコースでコースの特性を知悉しているのと同じ話ではないでしょか。
もう一つは、勉強、というか、学び続ける姿勢と思います。シゲルさんのモットーは「まずやってみる。いくらか損したとしても、そこから学びを得て、自分なりのやり方を確立させていく。」(p268)。そのために、毎日、すべての取引をノートに記録して反省、経験は大事ですが、経験による成功体験に頼らず、常に学び続けていく姿勢、これがいくつになってもトレーダーとして生き残っている秘訣と思いました。とくに、xxxショックの場合、前例のない事象なので、「前回はこれ以上、下がらなかったので買い」みたいな過去の成功体験に頼っていたら、やられてしまいそうです。だからこそ、Windowsのようなオペレーティングシステムと同じで、常に新しいモノを取り入れて、アップデートする、こうしたシゲルさんの姿勢は大いに学ぶところがありそうです。