値上げと顧客満足

2月 14th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営

値上げと顧客満足

今日(2月14日)の日経新聞にルネサスの記事が掲載されていた。

ルネサスは、電機・自動車などで利用するマイコンを製造する半導体製造会社。

ほんの小さな部品だけど、それがないと、電機・車が製造できない、先の大震災の際にも、ルネサスの工場が被災して、電化製品・車の製造が滞ったのは記憶に新しい。こんな重要な会社だけど、儲かっているかといえば、そうではない。今期も、1760億円の営業赤字予想と不振が続き、状況を改善するためには値上げが必要と記事は説く。

なぜ、不振が続くか?いろいろ理由はあるけど、記事中にて三菱電機下村会長はこう指摘する。”これまで”顧客満足度を高めるという原則にとらわれすぎた”、これがすべてだと思う。

これは半導体業界の話だけど、自分が馴染みのあるIT業界にもあてはまる。IT業界は、Google、アップルのように自社で製品を開発して、販売する会社もあるけど、それはほんの一部。とくに日本の場合、お客さんのシステムを受託開発する仕事が多い。そして、受託開発も、システムの規模が大きいと、一次受け(プライム)が受注し、それを2次受け、3次受けとゼネコンのように多重構造になっている。

こうした構造での”顧客満足度”は、つきつめると、価格。すなわち、値段を安くして、”顧客満足度”を高めれば高めるほど、受託開発会社は自分のクビをしめることになる。ルネサスとまったく同じ構造だ。

では、どうするか?これまで散々議論しているけど、やっぱり、自社のオリジナル製品・ソリューションを提供することだと思う。受託の場合、お客さんのシステムを作っているので、そっくりそのまま自社オリジナル製品として売り出すわけにもいかない。でも、そこで培ったノウハウは別の領域に活かすことができる。たとえば、新日鉄住金ソリューションズは、もともとは、新日鉄のシステム子会社だったけど、鉄製造の緻密な管理ノウハウを横展開して、銀行・証券の金融ソリューションを提供して、それが事業の柱になっている。ここを参照のこと。

冒頭にもどって、ルネサスの記事、値上げもたしかに重要だけど、横展開もさらに重要と改めて思いを深くしました。

 

 

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