さて、今から6年前の2018年から読んだ本について読書メーターの本棚機能で記録をつけるようにしました。で、18年93冊、19年94冊、20年94冊、21年94冊、22年94冊、そして、今年は95冊でした。自分は仕事でもプライベートでも日々のルーチンワークを大切にしていて、本を読むこともルーチンワークの一つです。で、毎日、朝ドラを見た後の、風呂で読んでいて、それが1年継続して、毎年、同じくらいの読書量になるのだと思います。
が、全部が当たりではなく、ホントに良かったと思えるのは、2~3割、新刊は少なくて、ブックオフとかの古本屋で何気なく手に取った古本がアタリだったりします。今に始まったわけではないですが、昨今、書店・古本屋が年々の減っており、このルーチンワークの継続も電子書籍を増やすなど、変化に対応する必要があるかもしれません。そんな2023年の印象に残った5冊です。
1.「グッドライフ」 ― 1938年から続くハーバード大学の成人発達研究、年世代もインタビューをして、得られた結論は、「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ。以上。」これは当たり前ですが、何もしなくてもよい人間関係が築けるわけではなく、筋トレのようによい人間関係を築くには常にエクササイズが必要(ソーシャル・フィットネス)と指摘します。つまりエクササイズをしないとよい人間関係を築けないということで、これは当たり前かもしれないですが、ハッと気づかされました。
2.「暗鬼夜行」― これは面白かったです。読書感想文の盗作疑惑という中学校でよくある話から、話が展開して、学校の統廃合、政治家の思惑、最後のオチ、会話中心の文体は賛否両論あるようですが、自分はテンポが速くて好きです。読んだら止まらない系です。
3.「史観宰相論」 ― たまたまブックオフの210円コーナーで買った本、松本清張はミステリーも面白いですが、歴史に対する洞察も流石と思いました。本書では、明治の伊藤博文から戦後の吉田茂までの宰相を語ります。そのテーマは、軍部との折り合いと理解しました。伊藤博文は、比較的ニュートラルでしたが、長州出身の山縣有朋が、できるだけ政党を排除して、出身母体の陸軍が自由に動けるように機関を設計した結果、軍部の暴走を止められなくなる。とくに、昭和初期は、陸軍の暴走に歴代首相は弄され、結果的に終戦に突き進む、これはガバナンスという点では教訓になりそうです。
4.「半導体戦争」 ― 今年のビジネス書ではベストでした。戦後、状態が安定しない半導体に置き換わることで発明された半導体、まずは、アメリカで軍事利用として導入が進み、80年代になると、日本がメモリ、ロジック分野で圧倒的ナンバー1になるも、ウィンテル時代になると、アメリカが復活、さらには、韓国サムソン、台湾TSMCといった政府の後押しで大規模なファンダリーが先進半導体製造を支配するなかで、中国が急激に力をつけてきた、ざっくりこんな感じです。で、次の動きとして、日本政府は遅きに失したのかもしれないですが、ここ数年、バックアップしていますよね、これが日本の半導体産業の復活になるか注目ですね。
5.「安倍晋三回顧録」―あまり政治の本は読まなかったのですが、これは本当に興味深く一気に読みました。安倍元首相の就任するところから、コロナでの退陣まで、政治・経済・外交、さらには、モリカケ事件などの疑惑まで、かなり突っ込んでインタビューしています。アメリカの場合、大統領経験者は回顧録を出すケースが多いと思いますが、日本は少ないですよね。ご本人はこうした形で出版されるのが本望なのかわかりませんが、安倍元首相に心から哀悼の意をささげるとともに、生前の彼のリーダーシップに深く感銘を受けました。