緊急事態宣言も大部分の地域で解除され、まだ、制限は続きますが、3月に始まった自粛生活も普段の生活に、だいぶ近づいてきたように感じます。
が、営業という話になると、まだまだ対面営業は少なく、Zoom・Teamsでのオンライン商談が多いようで、オンラインの場合、「既存のお客さんはいいけど、新規はなかなか取りにくい」という話をよく聞きます。まあ、そうですよね、既存の場合はすでに関係ができていますが、オンラインで初対面だと、相手の「息づかい」と読みづらいことは間違いなさそうです。
閑話休題、先日、井上ひさし「12人の手紙」(中公文庫)を読みました。その名の通り、手紙だけで12人の生き様、ストーリーを語ります。たとえば、出生届から死亡届まで公式書類だけで人生を語るなど、井上ひさし流の「趣向」(=こだわり)が満載です。彼が亡くなって、もう10年経つんですね。
この本が出版されたが1978年、いまから40年ほど前で、当時はネットもなければ、FAXもなく、コミュニケーション手段は電話と手紙くらいで、もちろん、オンライン商談もありません。今と比べてコミュニケーション手段が限定的ながらも、本書では、ペンフレンドで新しい観光案内人を開拓するなど、手紙を上手く活用していて、それがとても新鮮でした。ま、ペンフレンドは、いまだと、クレイグリストとかに近いのでしょうかね。
40年前と現在、ネットを含めて、コミュニケーションの技術は進歩しました。が、相手に思いを伝えるコミュニケーション自体はあまり変わっていない気もします。企業にとっての「ペンフレンド」が何に相当するかわかりませんが、「趣向」を込めた手紙(メール)を書くのも一つの手かもしれないですね。「手紙」という文化自体は薄れつつありますが、相手とコミュニケーションをするということは、いつになっても変わらないと思いました。