便利屋ビジネスと顧客満足度

3月 11th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (便利屋ビジネスと顧客満足度 はコメントを受け付けていません)

先日、写真の便利屋のチラシが入っていて、いろいろとビジネスを考えるきっかけになりました。

かのピーター・ドラッガーは、企業活動の目的について、”顧客の創造”と定義しました。それは当たり前の話で、お客さんがいなくては、ビジネスにならない。

そして、この便利屋のビジネスも、”ゲームの相手がいない”、”犬の散歩の時間がない”、”洗車の時間がない”といった”時間をお金で買う”顧客にハマるモデルだと思う。

ただ、これでビジネスとしてマネタイズできているのか。これは、どこまでお客さんのわがままを聞くか、だと思う。

”お客様は神様です”よろしく、お客さんのわがままをすべて聞く、もちろん、これは顧客満足度を高める最大の方法だけど、ビジネスとして成り立つとは限らない。

たとえば、自分のなじみのあるIT業界では、システムをつくる際、顧客のシステム設計をする際に、”お客様は神様です”とばかりに、、”ECと連動したい”、”ボタン一発で経営状態が見えるようにしたい”など、お客さんの言い分をすべて聞いて、システムを作ろうとすると、ほとんどの場合、予算、制限時間オーバー、もしくは、ひどいとシステム会社の持ち出しになってしまう。やはり、お客さんのわがままをすべて聞くいわゆる”御用聞き”は必要とされていない。むしろ、腕利きのプロマネは、お客さんのやりたいことを制約条件(予算、時間)のなかでうまく調整する、あるいは、断る能力に長けていると思う。ちなみに、当社では、このシステムと経営とのギャップをセカンドオピニオンサービスという形でギャップ分析を提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 便利屋もこのシステム開発の話と同じで、お客さんのやりたいことをすべて聞いていると、たぶん、ビジネスとして成り立たないと思う。だからといって、”これはできません”と断り続けては、便利屋の沽券に関わる問題で、その折り合いの付け方が、便利屋ビジネスモデルの肝・ノウハウなんだと思う。ちなみに、システムの話に戻ると、システムでは、この肝・ノウハウは、パッケージに相当します。極端な話だけど、Windowsには、製造業向け専用Windowsもなければ、医療向け専用Windowsもない、どの業種でも同じ。パッケージを買って、インストールするだけで終わり、ものすごくレバレッジの効くビジネスだと思う。Windowsまでいかないにせよ、多くのパッケージは、”お客さんのやりたいこと”がだいたい凝縮されていて、それをインストール&カスタマイズである程度のことができる。そして、”だいたい”という最大公約数をどこに設定するのかが、企業の腕の見せ所、ニーズの捉えどころなんだと思う。

 こう考えると、最初の”顧客の創造”とは、単に、お客さんのわがままを叶えておカネをもらうのではなく、お客さんがおカネを払ってでも、その成果に満足する仕組み(イノベーションとも言えるかもしれない)を作ることなんだろうと思いました。改めてドラッガーの教えての深さが身に沁みます。

上杉鷹山に経営を学ぶ

3月 8th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (上杉鷹山に経営を学ぶ はコメントを受け付けていません)

上杉鷹山に経営を学ぶ

高校時代のころから歴史が好きで、今でも機会を見ては歴史の本を読んでいます。
そのなかで、今回紹介するのは、童門冬二の「上杉鷹山の経営学」。

上杉鷹山と言えば、かのJ・F・ケネディが尊敬する日本人と言わしめた人物だけど、いままで何がすごいのかあまり知らなかった。
でも、自分が経営に身を置くようになって、その素晴らしさがわかりました。

彼が藩主を務めた米沢藩は、初代上杉謙信の時代は、越後で200万石を越える収入があり、2代景勝の時代は会津に移されて120万石。さらに、江戸時代になって、米沢に移され30万石に減封、くわえて、4代目から5代目の継承に不備があり、15万石に減らされた。収入が減る一方で、家臣の数を減らすわけでもなく、藩の収入のうち、90%が人件費だったという。企業でいえば、売上が激減しているにも関わらず、コスト(固定費)は変わらない状態。給料のベースダウンを実施するも、一向に財政状況が改善することなく、先代の上杉重定は一時は版籍を幕府に返すことも検討したという、その中で、上杉鷹山が17歳で藩主となる。

こうした絶望的な状況のなかで、彼はどう藩を変えたか。その改革の一つが、米作一本足打法をやめて、収益を多角化すること。具体的には、和紙を作るために楮100万本、漆100万本、絹を作るために桑100万本植える計画を立て、これを実行した。この収益の多角化は、天明年間に会津藩の家老田中玄宰(会津の酒蔵末廣では、彼へのオマージュとして「玄宰」という大吟醸を作ってます)が、会津で漆、酒などの生産を強化するなど、上杉鷹山の専売特許ではない、でも、それを”ダントツ”にやり遂げるところ、ここに経営者としての上杉鷹山のすごさがあると思う。

そして、これは現在にもとてもよくあてはまる。江戸時代の米作のような”一本足打法”はビジネスとしては当たり前。たとえば、かつて、吉野家のメニューは牛丼のみで、牛丼一筋に絞るからこそ、原材料を安く調達できたり、一度に大量に生産できたり、オペレーションをマニュアル化したり、メリットが多い。自分の馴染みのあるIT業界でも同じで、システム開発だけの”一本足打法”はメリットが多い。システム開発、お客さんからシステム開発案件を受注して、自社で賄えない分は、協力会社(外注)をつかってシステムを開発をする。そして、協力会社を使える分だけレバレッジが効くので、うまく協力会社を使えれば、もたらすリターンも大きい、まさにシステム開発”一本足打法”だ。

ただ、一本足打法は米作しかり、吉野家の牛丼しかり、システム開発しかり、リターンも大きいけど、一度、不の循環、米作では不作(とくに東北は不作の不作の年が多い)、吉野家の牛丼は米国牛の輸入停止、システム開発はリーマンショックのようなシステム開発全面ストップ、に陥ると、致命的な痛手を受ける。その痛手を受けて、構造的に立ち行かなくなったとき、どうするか、それは、これまでのしがらみを捨てて、収益の多角化を”すぐにやるしかない”。それをやるのが経営者の役割なんだと思う。

 上杉鷹山が生きた時代からまだ200年くらいしか経っていない、その間、人間が劇的に進化したわけでもなく、まだまだ、歴史から学ぶことはたくさんありそうです。

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PLアプローチとBSアプローチ

3月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (PLアプローチとBSアプローチ はコメントを受け付けていません)

PLアプローチとBSアプローチ

財務諸表を見る(アナリスト)・作る(経営管理)仕事をトータルで7年近くやってきて、世の中には2つのアプローチがあると思う。

まず、一つはPLアプローチ。一番わかやすいのは、確定申告。確定申告は、その年の給与、不動産、雑収入から、医療費、保険等の控除を引いて、最終的な納税すべき、もしくは、還付する金額を確定する。言ってみれば、個人の1年のPL(Profit & Loss)をまとめたモノともいえる。セクターによって、異なるけど、アナリストの分析も、どちらかといえば、PLアプローチが多い。株価は、EPS(一株あたり純利益)×PER(株価収益率)で表すことができて、EPSとPERを当てることができれば、株価は予測できる(が、実際、これはとても難しい、とくに、PERは人間の期待値なので、合理的に見積もるのは困難)。要するに、1年にどれだけの損得をしたか、これがPLアプローチ。

一方、BSアプローチはちょっと違う。身近の例では、銀行口座の預金残高(バランス)。預金残高は1年で完結する話ではなくて、何年、何十年と続く話。そして、預金残高がマイナスになったら、企業は立ち行かなくなる。だから、売上を増やす、経費を削減する、もしくは、売掛金(入金)と買掛金(出金)のサイクルを調整する(できるだけ早く入金して、できるだけ遅く出金する)、どれだけ預金残高を増やして、ひいては、会社の規模を大きくすることができるか、これは企業戦略によるところが多い。で、この預金に限らず企業の財産の残高(バランス)を記録しているのが、BS(バランスシート)であり、BSアプローチは、積み重ね(ストック)ともいえるかもしれない。

PLアプローチとBSアプローチ、どちらが良いというわけでもないけど、自分はBSアプローチが好きだ。PLアプローチは、企業の長い歴史のなかでの、ほんの一つのスナップショットにしか過ぎない。一方、BSアプローチの場合は、”創業以来継ぎ足してきたツユ”のように、会社の歴史が色濃くBSに反映されている。ある方に、”企業の経営はBSをみればわかる”と教えられたけど、まったくその通りだと思う、やっぱり、BSは大事です。

スグに年収1000万をもたらす30の技術スキル

3月 2nd, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (スグに年収1000万をもたらす30の技術スキル はコメントを受け付けていません)

年収1000万をもたらす30の技術スキル

http://www.businessinsider.com/10-tech-skills-that-will-instantly-net-you-100000-salary-2013-2#に、年収1000万円($100,000+)をもたらすスキルとして、30の技術が紹介されています。それによると、30の技術スキルは以下。

  1. SaaS
  2. Data Warehouse
  3. Change Mamagement
  4. Azure(MSのクラウド)
  5. Nginx (オープンソースのwebサーバ)
  6. Business Intelligence
  7. HP-UX
  8. Weblogic
  9. UML
  10. kanban (いわゆる、カンバン方式でソフトウェア開発管理する方式、くわしくは、
  11. SOX
  12. People Code(People Softの開発言語、同社はオラクルに買収されたものの、使っている企業があるので、需要があると)
  13. ウォーターフォール開発方式
  14. Scrum (アジャイル方式での開発手法)
  15. FCoE (Fiber Channel )
  16. Lean (リーン式開発方式)
  17. Korn Shell (いわゆる、UNIXのシェルだけど、UNIXサーバ管理という意味で)
  18. Fortran
  19. JDBC
  20. CMMI (ソフトウェアの品質管理手法)
  21. ETL
  22. Objective C
  23. Jetty(Java web server)
  24. Mondo DB
  25. SOA
  26. Omnigraffle
  27. PMBok
  28. NoSQL
  29. Big Data
  30. Hadoop

正直、これあり?というのもあり、かつ、これ入ってないの?(例:Runy on Rails)もあるけど、だいたい納得できる。自分もITコンサルとして、IT企業、ユーザ企業の方とお話をしていて、だいたい、需要があるのが、1.プロジェクト管理(このリストでは、PMBok,CMMI,Scrum,ウォーターフォール、UML、SOA,Kanban)、2.レガシーのインテグレーション(Fortran, JDBC, HP-UX, FCoE)、3.データ管理・分析(Data Warehouse,Business Intelligence,ETL, Big Data, NoSQL, Big Data, Hadoop)あたり。いずれも本を読んで勉強してもすぐ身に付くものではない、だから、 “A $100,000+ Salary”をもたらすのだと思う。

ちなみに、Datawahous、Business Intelligence, ETL(E(Extract),T(Transform),L(Load)、データのカタマリをETLを経ることで、分析可能なモノにする)について、2012年3月に発売した拙著「ビックデータ戦略」で紙面を割いて書いてます、こちらもぜひご一読を。

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