さて、日本電産の永守さんCEOに復帰するそうですね、理由は業績と株価が不甲斐ないからと。念のため、とくに、どの会社を特定しているわけではありませんが、株価について思うところというか、思いを改めました。
最近はだいぶ少なくなりましたが、一時、時価総額経営というのが持て囃されました。株価(時価総額)をいろいろな手段を使って上げて、株価が高くなったところで増資をし、調達した資金で会社を買収するなりして、株価を上げて、さらに増資の繰り返すと。
自分の感覚では、ライブドア事件以前までは、時価総額経営は良いことだという風潮でしたが、その後は強欲だとか、資本主義の負の側面だ、のようにあまり良い意味でとらえられないように思います。自分も割とアンチ時価総額経営に与していて、株価は適正な企業業績に上で決まるので、株価を無理に釣り上げるものではないのではと思っていました。
ただ、最近思いを改めるようになっていて、株価を上げるのは経営の仕事と思います。つまるところ、それは株価をどこまで「自分ごと」にできるかなのではないかと。やはり、株価ほど、「他人ごと」にできるものはありません。ウクライナで戦争が起きれば株価は下がるし、アメリカで金利が上がれば株価は下がります。そして、ウクライナの戦争もアメリカの金利も、一企業の経営者がコントロールできる話ではありませんよね。さらに、株価自体も市場が決めるもので、一企業ができることはそれほど多くありません。
ただ、ウクライナの戦争、アメリカ金利上昇で株価が下がっているから、それは仕方ないと「他人ごと」にするのか、どんな外部環境であっても、成長戦略を示して、業績をあげて、会社の価値をあげて、株価を上げる努力をする「自分ごと」にするか、この差は大きいと思います。
で、この「他人ごと」と「自分ごと」の差は、オーナーシップ(株式持ち分)の差かなと。いわゆる、サラリーマン社長のようにオーナーシップが少なめの場合、株価が下がっても自分のフトコロが痛むわけではないので、やはり、「他人ごと」になりがちですよね。一方で、創業者・オーナーの場合、自分の資産に直結するので「自分ごと」になりやすく、オーナーシップが多めの経営者のパフォーマンスが比較的良いのも、「自分ごと」という観点で割と説明できるようにも思います。
というわけで、投資のヒント。よく経営者インタビューで「株価についてどう見ておられますか?」という質問がありますが、「国際情勢の緊迫感で株価全体が下がっているので、仕方ない」よりも「国際情勢の緊迫感で株価全体が下がっているが、あらゆる手を尽くして株価を上げたい」、こちらですよね。