「ロスジェネの逆襲」に見る半沢直樹の条件

9月 25th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (「ロスジェネの逆襲」に見る半沢直樹の条件 はコメントを受け付けていません)

いや~、半沢直樹のドラマ面白かったです。

この面白さを語るには、いまさら感があるけど、とにかく、面白かったです。

で、巷では、映画化のうわさもある、出向先の半沢直樹を描いた「ロスジェネの逆襲」をドラマの余韻が醒めぬまま、読みました。

これもやっぱり面白い、原作の方は、ドラマに比べると半沢直樹が若干マイルドになっていて、これをドラマにするとすごいことになるんだろうなぁと想像しながら、最後まで一気に読みました。

それで思ったこと、自分もいろいろな会社をみるチャンスがあるけど、どの会社にも半沢直樹に相当する社員はいると思う。もちろん、何も状況がわからないまま、”倍返し”をしても、会社の反発を買うだけだけど、倍返しが成立しうる環境もあるかなと。ロスジェネの逆襲(ドラマも同じ)だと、たぶん、以下の環境。


1.トップからの認知・理解
 これはすごく大事。どんな企業を問わず、トップの最大の特権は人事と報酬を決める権利。アメリカ型コーポレートガバナンスというなかで、人事を決める指名委員会、報酬を決める報酬委員会を設置する委員会設置型がある。でも、日本でなかなか普及しないのは、このトップの権限である人事と報酬を奪うものであり、なかなか普及が進まないのも、この強力な権限をトップが手放したくないというのもある。半沢直樹でいえば、このトップは、中野渡頭取、ドラマでは最後に子会社出向を命じるものの、頭取は”銀行を変える面白いやつ”という認識があるように思う。これは、他の会社でも結構あって、”皆に反対されたけど、社長だけ支持してくれて、プロジェクトを進めることができた”という話も結構多い。トップから認知・理解されること、これが一番重要だと思う。

2.同期の絆
 結局のところ、ビジネスの多くは、どれだけ情報を持っているかで決まる場合が多い。それで、自分の部署だけだと情報が限られていて、内部・外部を問わずいろいろな情報を収集することで、次の打ち手を決めなければならない。たとえば、そういう情報が入ってくるのは、タバコ部屋、自分はタバコを喫わないのだけど、たまにタバコ部屋にいくと、いろいろな情報が入ってくる。そして、部署が違う同期も”タバコ部屋”と同じ役割だと思う、半沢直樹でいえば、渡真利、近藤がこれに相当する。これも重要。

3.部下からの信頼
 「ロスジェネの逆襲」では、半沢の部下として働いた森山がこう回想する。

半沢は尊敬に値する上司だった。顧客を優先し、自らの地位さえ顧みない肝のすわった仕事ぶり。知恵と努力で相手を上回り、僅かな糸口から事態を逆転に導く手腕、。半沢と仕事ができたのは、森山の財産だ。(「ロスジェネの逆襲」 p363)

 これはドラマをみれば言わずもがな、でしょう。そして、ロスジェネの逆襲では、”ロスジェネ”の部下が、半沢の思いもよらない方法で、”逆襲”します。

この3つ、もちろん、トップからの認知・理解が一番重要だけど、それには同期・部下とのコミュニケーションも大切、そうした3つの当たり前があるからこそ、倍返しが成り立つのかもしれない。そして、ロスジェネの逆襲、映像化が楽しみです!

 

「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣

9月 18th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣 はコメントを受け付けていません)

日経BP田島様より献本いただきました、ありがとうございます。

本のタイトルは、”「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣”、オリジナルのタイトルは、”The Startup Playbook: Secrets of the Fastest-Growing Startups from Their Founding Entrepreneurs”、言ってみれば、急成長した企業家が明かすスタートアップのプレイブック、といったところだろう。

そういうわけで、この本には、スタートアップで急成長した41人の企業家のストーリー、起業家へのアドバイスが収録されている。ただ、このアドバイス、人によってさまざまで、たとえば、取締役会に対するアドバイスとして、

取締役会は気にせず、顧客の方を向こう:あなたも社員たちも、取締役会を気にしないでいられるようになりましょう。いつも、「取締役会に喜んでもらうために、これをしなくちゃならない」などと言っていたら、この組織は取締役会を喜ばせるために存在しているのだ、という誤ったシグナルを送ることになります。あらゆる企業の目的は、顧客を喜ばせることです。その目的を達成しましょう。そうすれば、取締役会の機嫌もよくなるはずです。 スコット・ハイファマン(創業者:アイトラフィック、フォトログ、ミートアップ) (p164)

というアドバイスもあれば、

言いなりにならない取締役会をつくろう:私は古いものを壊すのが好きです。多くの新しいカクテルの多くが、そうやって生まれてきました。社外から来た人物で、四六時中あなたのことをほめたたえるなどということをしない人物が必要です(そんな人物が必要だと言うのなら、賞賛の声は会社のドアを開けた時に外に出ていき、社内に残らないようにしなければなりません)。取締役会も、会社のいうことを単に承認する存在ではなく、会社を振り回す存在でなければなりません。リサ・ガンスキー(創業者:オフォト)(p128)

というアドバイスもある。”船頭多くして”ではないけど、一つ言えるのは、この本のすべてのアドバイスを参考にして、起業しても、結局、妥協の産物になってしまって、よいプロダクトは生まれない気がする。

 だからといって、この本が使えないという話ではなくて、むしろ、本書冒頭にある

率直に言えば、会社とは人であり、出発点となるのはあなた自身だ。格言にもある通り、自分自身を率いることができなければ、他人を率いることなどできない。不快にも感じるかもしれないが、これは事実だ。会社の立ち上げを通じて、本当のあなたが暴かれることになる。古い自分はばらばらになり、新しい自分になることを強いられることも多い。ずっと続くような組織をつくる際には、中核となる目標や信念、方向性が必要だ。(p7)

 というわけで、アドバイスがバラバラになるのは、人それぞれ出発点が違うから。そして、出発点が違うからこそ、受け入れるべきアドバイスもあれば、受け入れるべきでもないアドバイスもある。

 たとえば、前述の取締役会だと自分としては、スコット・ハイファマンの”取締役会は気にせず、顧客の方を向こう”という指摘より、”言いなりにならない取締役会をつくろう”というリサ・ガンスキーの指摘の方が響く。それは、自分は経営をアドバイスするという立場から、いくつかの取締役会に出てきたけど、”言いなりにならない取締役会”にするのは楽ではない。ともすれば、形式だけで終わる可能性もある、だけど、”言いなりにならない取締役会”にするは、全員が緊張感をもって臨まないといけないし、取締役会に臨むにあたって、きっちりその会社のおかれている状況を誰よりも理解しなくてはならない。

結局、それは”やるしかない”。そして、本書は、きっちりやり遂げている人たちの”プレイブック”ともいえるかもしれない。

 もうひとつ、いいなと思ったのが、2度、3度と起業を失敗した人が多いこと、さっきのように、”やるしかない”のだけど、常にうまくいくとは限らない、2回、3回と失敗して、ようやく、マーケットのリーダーのポジションを手にした起業家が何人もいること。どんなに苦境に立たされても、Never Never Never Give upであきらめない。なので、これからスタートアップという人もおすすめだけど、現在スタートアップもしくはすべてのビジネスにおいて、心が折れそうな状況に置かれている、こんなときに、この本はピッタリだと思います。日本版もぜひ欲しいです。

MOTとマネジメント

9月 13th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (MOTとマネジメント はコメントを受け付けていません)

最近思うこと、その昔大学で博士課程の学生をやっていたころ、単位取得のためにMOT(Management Of Technology)の授業をとっていた。

当時は、研究一筋でマネジメントとは全く縁のない世界にいたこともあって、その新鮮さに大いに刺激を受けたものでした。

そして、アナリスト、そして、マネジメントに身を置く立場になってみて、MOTに対して考え方が変わってきたと思う。

というのは、当時は、マネジメントは、”一部の企業のエラい人がやるもの”と思っていたけど、いろいろ経験してみて、マネジメントは、企業のエラい人ではなくて、誰もが毎日何かしらのマネジメントに携わっていること。たとえば、体調管理はマネジメントそのものだ。

という意味では、マネジメントのないテクノロジーはありえないともいえる。では、テクノロジーならではのマネジメントってなんだろう?


ちょっと極端かもしれないけど、”テクノロジーな人がマネジメントを知る”ことだと思う。前述の自分のケースも、証券会社に勤めることがなく、エンジニアのままだったら、相変わらず、マネジメントは、”高嶺の花”だったかもしれない。マネジメントが近くにあること、それを知ることで、さらに、勉強する。そうしたきっかけづくりというのはとても大事。

自分が思うにテクノロジーな人(=理系)はマネジメントが向いていると思う。たとえば、ダイエットというマネジメントであれば、どのようにして体重が減るのかを仮説を立てて、その仮説を日々の食生活・運動で実行しながら、体重を測ることで検証し、また、仮説を検証する。このPDCAサイクルは、いわゆる、理系の実験プロセスそのものだろう。

 世の中にマネジメントがあふれている、でも、それに気が付くのはもっと重要、そんなことを先日思いました。

ミクロの視点とマクロの視点

8月 31st, 2013 | Posted by admin in 経営 - (ミクロの視点とマクロの視点 はコメントを受け付けていません)

先日、とある方と話すことがあって、とても納得したこと。

それは、ミクロの視点とマクロの視点、両方必要ということ。

たとえば、大河ドラマだと、ミクロの視点は1話1話のストーリー、そして、マクロの視点は全体のストーリー。

だから、1話1話のストーリーがつまらなくても、ダイジェスト版で見ると、全体のストーリーが意外と面白いということがよくある。

最近のあまちゃんが秀逸なのは、1話1話のストーリーがよく練られていながら、かつ、全体のストーリーも深みがある、こんな秀逸のドラマは、はなかなかお目にかかれるものではない。


それで、これは本の話も同じ。自分も何冊か本を書いたけど、自分の書く本は、だいたい1つの話題が1000~2000字くらい、それを10項目まとめて1章にして、全体で6~7章あるパターンが多い。そのとき、言われてみて、そうだなとおもったのが、マクロの視点とミクロの視点。

一つの話題の面白さも重要だけど、それ以上に重要なのが、マクロの視点、一つ一つを重ねて、そこから何が鳥瞰できるのか、こっちの方が大事だと思います。

そして、これは、”デザイン”によるところが大きいと思う。自分の経験からいうと、ミクロを頑張って仕上げて、それがしっかりしたマクロにもなるというパターンはあまりない。でも、最初にマクロを作っておいて、そこからミクロを仕上げていく、こっちの方がやりやすい。だからこそ、全体像が必要なのかと思いました。

常勤と非常勤について考える

8月 21st, 2013 | Posted by admin in 経営 - (常勤と非常勤について考える はコメントを受け付けていません)

最近、考えているテーマが、常勤と非常勤。英語でいえば、フルタイム(full-time)とパートタイム(part-time)

兵法という観点からすれば、フルタイムとパートタイム、どちらが良いかと言えば、フルタイムに決まっている。

孫子の兵法いわく

。我は専りて一と為り、敵は分かれて十と為らば、十を以て其の一を攻むるなり。我寡なくして敵衆き、能く寡を以て衆を撃つ者は、則ち吾が与に戦う所の者約なればなり。

敵軍が自軍の10倍であった場合、そのまま正面突破しては勝ち目がない。だからこそ、1点集中して、強大な相手を撃破する。常勤、非常勤という話、この点からみれば、明らかに、常勤に分がある。そもそも、軍隊の場合、火曜-金曜までサラリーマンですが、土曜-月曜は軍隊入ります、というのは基本的にありえない。という意味では、非常勤(パートタイム)という概念は成立しにくい。

一方で、非常勤が必要な場面もある。自分の知っている範囲では、会社の非常勤役員。役員には、2種類あって、毎日出社する常勤役員と毎日ではないものの、取締役会など会社の重要会議に参加する非常勤役員。

この”非常勤”というスタイル、自分はとても重要だと思う。もちろん、前述のように兵力の一点集中という点では、非常勤は確かに弱い。その理由は、やっぱり、常勤でないと、戦況の逐次把握が難しいから、24時間365日戦況をウオッチしている人と、3日に1回しかウオッチしていない人ではやはり差が出る。でも、一方で、非常勤のよさは、様々な視点でモノを視ることができること。


作戦はつねに正しいとは限らない、ときによっては、とんでもないプランを社長がぶち上げることがあるけど、トップ以下だれも反対できないので、なし崩し的に賛成というケースは、いままで自分の見た範囲では、結構ある。そんなとき、やっぱり、客観的にモノを視る存在は、やっぱり、必要だと思う。

そういう意味で、日本で社外取締役の重要性を主張しているけど、自分もこれに全面的に同意したい。戦況をつねにウオッチしながらも、その戦地が戦っていることが正しいのか、あるいは、他の方策はないのか、様々な観点から議論する、これは会社を変な方向に向かわせないためには、とても重要なことだと思うのです。

奇跡の営業

8月 21st, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (奇跡の営業 はコメントを受け付けていません)

レビュープラス様より、「奇跡の営業」(山本正明著、サンマーク出版)をご献本いただきました、ありがとうございます。

この帯には、こうあります。

ただのおじさんが
 未経験にもかかわらず
 44歳で転職。
 入社以来たった10年で
 驚異の連続挙積
 460週を達成して
 ソニー生命
 4000人の
 トップに立った
 秘訣とは?

で、この秘訣はなんだろう?

筆者の山本氏は、これまでゼネコンに勤務していたこともあり、人を圧倒する話術、でトップに立ったわけではない。

むしろ、その秘訣は、”人から人へ紹介してもらう”ことにあるというのが本書の趣旨だ。

そして、人から人に紹介してもらうためのツールとして、アンケートがあり、これは、

あなたがトップ営業マンになるためには、このアンケートを「自己分析ツール」として活用することで、より大きな自己成長、そして、「紹介」につなげていく必要があります。p52

と筆者は主張する。

自分もネットでどうやって口コミを拡大するか、ということでしばしばコンサルティングの依頼をいただくけど、そうしたとき、まず、考えるのは、どうやって、口コミをする仕組みをつくるか。

世界で最も口コミが成功した例は、1950年代のタッパーウェア、いまでこそ、”タッパー”といえば、食べ物等を冷蔵庫で保存するための無くてはならないものだけど、タッパーが登場した1950年代はこうした仕組みがまったくなかった。そこで、タッパーウェアでは、主婦がホームパーティを主催する際に、タッパーウェアを紹介する仕組みを考案。パーティで主婦がタッパーを紹介し、そのパーティに参加した別の主婦がタッパーの良さを理解して、自分でパーティを開催、そうして口コミがどんどん拡大。今のタッパーの原点になったと。

筆者が提案する、”アンケート”もこのタッパーウェアのホームパーティに近いかもしれない。すなわち、アンケートを実施し、そのアンケートから得られた次の紹介者を開拓し、と、どんどん開拓が進むと。そういう意味では、筆者のアンケートという手法は、斬新な手法ではないものの、口コミで人を納得させる古今東西変わらない方法と言えるかもしれない。

文章もとても平易なので、”口コミでビジネスどう広げるか”を考えるにはよい本だと思いました。

インプットとアウトプットのバランス

8月 17th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (インプットとアウトプットのバランス はコメントを受け付けていません)

かつて証券会社でアナリストをやっていたときの話。

アナリスト(野村証券、みずほ証券などのような株を売る側、通称、セルサイド)は、基本エクイティセールス(以下、営業)とタッグを組んで、顧客(機関投資家、XX信託銀行、XXアセットマネジメントなど)に株を推奨する。

それで、アナリスト当時、苦労していたのは、インプットとアウトプットのバランス。

アナリストのインプットは、自分の担当業界(IT業界など)の会社に足しげく通って、取材して、カバー(将来の収益予想モデルをつくって、メンテする)する。電話で確認する場合もあったけど、実際に訪問すると、微妙なニュアンスを感じ取れたりするので、基本、足で稼ぐことが大切。

アウトプットは、足で稼いだ情報を、レポートとして提出し、その内容をミーティングなどで機関投資家に伝える。その情報に従って、投資すると、リターンを取れる場合もあるし、そうでもない場合もある。

それで、難しいのは、インプットとアウトプットのバランス。インプットばっかりで、なんもアウトプットしてないと、”ちゃんと仕事してんの?”となってしまう。一方で、インプットなしでアウトプットだけだと、上っ面をさらっただけでアウトプットの深みがなくなる。


ちなみに、この図式、IT業界でもかなりよくある。営業と技術の関係は営業とアナリストのそれと全く同じだ。

営業は、その名の通り、自社の製品(サーバ、パソコン、ルータ)などを売るのが仕事。

でも、営業がすべてお客さんのところに行って、お客さんでの契約を受注できるとは限らない。

たとえば、お客さんのところの技術担当者が”技術を呼んでよ”となり、技術を呼んで、その技術が、お客さんに対して、説得できる説明であれば、お客さんは発注する。

ただし、技術もずっとお客さんのところにいってアウトプットしては、製品についてのインプットがなくなり、気がついたら、自社の最新製品を知らなかった、というのは結構多い。

アナリストと営業、技術と営業、結局のところ、重要なのはバランスなんだと思う。インプットとアウトプットのバランスをとる、これは楽なようで難しい、でも、それをやらなくてはいけないってことだと思う。

新しい分野を知る 独立ノウハウ

8月 12th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (新しい分野を知る 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

かつてアナリストとして、上場企業の経営者にインタビューしたときのこと。

自分はかつて、大学で長いこと研究生活を送ったこともあり、ITのことは何となくわかったけど、たとえば、半導体、自動車になると、よくわからない。で、その上場企業は、一応、IT企業だけど、かなり別の分野に特化した分野で、正直、全然事業がわからなかった。

それで、経営者は、”こいつわかってないな”とすぐに看破する、もちろん、だからといって何も教えてくれないというわけではないけど、深い議論ができない。それで、そのときも、自分のトンチンカンな質問からそう思ったのだろう。まさに、言葉はオブラードに包みながらも、”こいつわかってないな”オーラ全開だった。

”わかってない”からどうなるわけでないけど、やはり、そのときは悔しかった。

自分がもうちょっとその分野のことを知っていれば、もっと、良い話を聞けたかもしれないと。


爾来、新しい分野で心がけるようになったこと、それは、片っぱしから、その分野の本を読みあさること。

いまでも、自分の全く知らない分野の新規事業企画、コンサル等の依頼をいただくことがある。いままで自分が持っているノウハウを提供するだけなら、勉強する必要はないけど、独立するとそうはいかない。やはり、必然的に新しい分野にチャレンジして、それを自家薬籠としないと食べていけない。

そのときも、まず、最初にやることが、その分野の本を片っ端から読む。

とくに、最近では、Amazon.comのマーケットプレイスを使うと、送料はかかるものの、中古でかなり安く欲しい本を手に入れることができる。ひと昔前だったら、古本屋めぐりをしなくちゃいけないところだけど、最近は、よくも悪くも古本屋めぐりがなくなった。

やはり、全然知らない分野なので、本を読んでも正直よくわからない。でも、何冊か読んでいくと、だいたい、最大公約数的な似たようなところがあって、それを抑えていくと、なんとなく、わかったつもりになっていく。たとえば、自分でいえば、ずっとITをやってきたので、ITのたとえで理解するようにしている、たとえば、簿記は、TCP/IPと同じで、ゆるやかな枠組みだけ提供してエンドが頑張る、のような。

それで、最大公約数からどうやって細部に入るかは、また、次回。

初年兵教育に学ぶリーダーシップ

8月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (初年兵教育に学ぶリーダーシップ はコメントを受け付けていません)

先日、ある人がこんなことを言っていた。

「部下は、たくさんいると指揮しやすいんだけど、2~3人だと、ウェットになって大変なんだよね」

これは、自分にも経験があるけど、よくわかる。2~3人が仲良くやっていればいいけど、やっぱり、そうはいかない。うまくいかないときもある。

うまくいかないとき、上司はどうするか。これはこれで難しい問題だ。もちろん、もめごとがあれば、仲裁して、うまく方向づけるのが上司の仕事なんだろうけど、世の中、そんなに簡単にいくわけではない。大岡越前のように喧嘩両成敗みたくバッサリ成敗できればいいけど、全員が納得する仲裁は難しい。一人はハッピーかもしれないけど、もう一人は禍根を残すというのはよくある話。


そんな中、なるほどなあ、と思ったのが、瀬島龍三の回想録の話。瀬島龍三は、戦前・戦中は陸軍の大本営参謀として、太平洋戦争の作戦を立案し、戦後は、シベリア抑留をへて、伊藤忠商事副社長として、同社の発展の原動力となった人物。そして、彼が20歳そこそこで士官学校を卒業し、故郷の富山で初年兵の教官として教育にあたることになった。そして、最初にやること、それが初年兵およそ80名の名前、正確、学歴等の暗記という。

1月10日の入営前に、受け持ち初年兵一人一人の家庭状況、正確、学歴、職業、顔写真などを頭に入れて暗記しておく。入営して初めて初年兵と顔合わせしたとき、いきなり、教官の方から、「○○」と初年兵の名前を呼ぶ。呼ばれた初年兵は自分の名前が知られていることでハッと驚く。そして親近感が生まれる。これも一種の教育法だった。

瀬島龍三回想録 幾山河 p36

これって信頼なんだなあと。

やっぱり、上司となるひとが、「今日から自分はあなたの上司です」と言われて、常に上司面されて、威張られていたら、部下は信頼しない。

でも、たとえば、名前を暗記するといった些細なことでも、上司が自ら努力をして、部下に働きかける、それによって信頼が生まれるんだと思う。

かつて、イギリスに留学した時に聞いた話。

ケンブリッジ大学では、先の大戦、第1次世界大戦で、多くの卒業生が犠牲になったという。それは、彼らが、自ら率先して、最前線に立ち、その結果、斃れたという。ノブレス・オブリージュとはまさにこのことだろう。

で、最初の話、どうやって、上司は部下を管理するか。

それはうまく仲裁をするんじゃなくて、自ら率先して、死にもの狂いになって、必死に範を示すことで、信頼を得るってことなのかもしれない。

小さな組織と大きな組織

7月 31st, 2013 | Posted by admin in 経営 - (小さな組織と大きな組織 はコメントを受け付けていません)

先ので紹介したようなベンチャー企業がどうやって大きくなるかということと同じくらい、IT技術が進化したとき企業の組織はどうなるか?ということに興味があり、様々な企業との関わりのなかで、いろいろ学んできました。

まず、思うのは、中間管理職が少なくなってきているということ。

会社を軍隊に例えるとするならば、大きな企業であれば、事業部(連隊)があって、その下に部(中隊)があって、課(小隊)がある。その目的は、軍隊では、当然のことながら、トップがすべての小隊の動きまで指示することは現実的でない。だから、トップが方針を伝えて、それを上意下達で、末端まで伝える方法が現実的だし、大企業も同じ事が言える。

でも、ネット時代になって、これがちょっと変わってきた、と思う。

たとえば、自分の知っているいくつかの会社は中間管理職がない、だから、経営陣が直接、事業にタッチして、日々の業務に当たる、いわゆる、プレイングマネージャーとも言えるかもしれない。

このプレイングマネージャーのメリットは、やはり、スピードだと思う。普通の指示系統だと、平社員 → 課長 → 部長と稟議決済の場合、それなりに時間がかかる。

それを中間管理職をすっ飛ばして、直接経営陣が決済すれば話は早い。

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くわえて、常に現場にいるというのも強みだと思う。

どの会社でも、上長への報告は必須だけど、100%正しく報告されているわけではない。やはり、自分の保身のためにも、偏った報告をする場合がある。

そして、偏った報告は、会社の意思決定をも誤らせてしまう可能性もあり、そして、その報告が誤りとわかるまで意外と時間がかかる、だからこそ、直接現場から報告を挙げてもらえば、こうした報告の誤りを防げる可能性は高い(現場の人間が誤った報告する可能性はあるけど、でも、現場を見ていれば誤りはわかることが多い)。

こう考えると結局のところ、組織は小さい方がよいと思う。そして、本来であれば、大きな組織であっても、ネットのレバレッジによって小さくてシンプルにすることができる。

ただ、難しいのは、組織を小さくてシンプルにするのが正解なのはわかっているけど、それを実行するのは楽ではない。

たとえば、田舎の場合、”組織を小さくシンプルにします”という話だと、やはり、雇用調整をせざるをえないけど、現実的にできるかといえば、難しい。

そう、世の中にはたくさんのしがらみがある、田舎の雇用は、その”しがらみ”の最たるものだろう。

そして、その”しがらみ”をどう断ち切っていくか、経営が歯を食いしばって、断ち切るしかない。

結局、いつものオチなんですが、”組織は小さくてシンプルの方がよい”、これはネットのレバレッジによって、ますます加速しているように思うのです。