佐藤一斎にみる江戸時代のロジカルシンキング

9月 13th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (佐藤一斎にみる江戸時代のロジカルシンキング はコメントを受け付けていません)

先日、打ち合わせの合間にちょっと時間があったので、ふらっとデパートで開催されている古本市で、佐藤一斎の原書(日本思想体系)があったので、買ってしまいました。

もちろん、自分は原書をスラスラ読みこなせるほど漢学の素養はないので、ちびりちびりと読んでます。

そんな中で、瞠目したのがこの一説。一斎先生が齢80を過ぎて、記した、「言志耋録(てつろく)」のこの一説。

 人は百歳なる能(あた)わず。
 只(た)だ当(まさ)に志、不朽(ふきゅう)に在(あ)るべし。
 志、不朽に在れば、則(すなわ)ち業も不朽なり。
 業、不朽に在れば、則ち名も不朽なり。
 名、不朽に在れば、則ち世々(よよ)子孫(しそん)も亦(また)不朽なり。

とてもロジカルな論旨だと思います。箇条書きすれば、

1.人間は100歳まで生きることはできない
2.100歳まで生きることはできないが、志は永遠に残るものである
3.志が永遠に残るのであれば、事業も永遠に残るものである
4.事業が永遠に残るものであれば、その名も永遠に残るものである
5.名が永遠に残るものであれば、代々、子孫も永遠に残るものである

まるで数式の証明を見ているような、まったく論旨に乱れがない研ぎ澄まされた文章だと思いました。

一斎先生の謦咳に触れることはできませんが、とてもロジカルな方なんだなあと思います。

で、思うこと。ロジカルシンキングは大事だと思う。

もちろん、ロジカルを越えて、エモーション・直観・感性で世の中を見ることもとても大事。

でも、組織として、人をまとめていく場合、ロジックが必要となる局面が多いと思う。

そして、それは現代だけではなくて、江戸時代も同じで、これからも同じだと思うのです。

マルチタスクとシングルタスク

8月 30th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (マルチタスクとシングルタスク はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

先日、何かの雑誌で旅館星のやのスタッフは、受付、客室清掃、調理補助など一つの業務だけではなく、マルチタスクをこなしているという話を読んで、なるほど、と思いました。

アジャイル的な考え方もこれに近くて、システム開発だけではなく、テストもやったり、設計もしたりと、ひとりが複数こなすマルチタスクなので、星のやもアジャイル的な組織と言えるかもしれない。

で、こうした一人が複数の業務を担当してまわすのは、清掃係、調理係と”係”に人を張り付けないため、少ない人数でオペレーションが完結し、結果的にコストが減るケースが多い。

じゃあ、どの会社もこうすればいいじゃん、と思うけど、これが結構難しい。やっぱり、組織が大きくなればなるほど、経理は経理、開発は開発とお互い話している言葉も違うし、結果的に縦割りになって、無駄の多いシングルタスクになってしまう。

でも、大企業でもマルチタスクを実現できている会社もあって、それは、社長の”組織を官僚化させない”といったリーダーシップによるものだと思う。前にもどって、おそらく、星のやもそうした危機感があるのだと思う。企業はトップ次第というけど、まさに、この例はそうだなあ、と昨日の帰路の途中思ったことでした。

IBMの息子

8月 26th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (IBMの息子 はコメントを受け付けていません)

自分のささやかな楽しみの一つがブックオフで100円の本を”発掘”することです。

今回の発掘は、IBMの息子 トーマス・J・ワトソン・ジュニア自伝(上下で200円でしたが)。上巻ではハーマン・ホレリスが発明したタブレットマシン(パンチカードを読み書きしてデータを記録するマシン)をアメリカではなくてはならないものにした創業者トーマス・J・ワトソンのマーケティング手法が息子の目から語られていてとても面白いです。

で、彼のポリシーは、”決定がくだされるところに電話しろ!社長に電話をかけろ!”(P119) そして、社長と面会して、社長がマシンに興味がなくても、IBMが編集した雑誌「Think」の定期購読リストに加えて、配布したという。そして、1930年代顧客数は3500社しかなかったのの、発行部数は10万部ちかく、IBMを応援してくれる牧師、議員などあらゆる人に配ったという。

このアプローチ、80年くらいたって、ネット全盛の今でも成立していると思う。その会社に興味がなくても、定期的によくできた雑誌を送付されると、”おぉ”という気になる。おそらく、ネットも同じで、最初はダメでも定期的に連絡することで、いつかビジネスにつながるということだと思いました。

これだけではなく、いろいろ得るものがありました。いまは絶版だけど、再版してもよいなあと思いました。

新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと

8月 12th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと はコメントを受け付けていません)

たまに、人を育てて欲しいみたいなリクエストをいただくことがあります。

ワークショップみたいな形でディスカッションする、あるいは、一緒に営業するみたいなケースもあります。

ま、自分は、「オレが、オレが、オレが」的に自分が豬突猛進するのではなく、「この人とこれをやったら面白いだろうな」的な控えめな発想をするので、たぶん、この手の仕事はあってるのかもしれない。

最近思うこと、当たり前だけど、一人前を育てるのは難しい。どうしたら、新卒を一人前に育てられるのか? ノウハウというわけではありませんが、自分が日々感じていることを整理してみました。

あきらめない

やっぱり、あきらめない。どんな企業でも、新卒に”即戦力”を求めるけど、これはないモノねだりだと思う。たしかに、新卒だけど、十分な経験もしていて、どんな場所にいっても、一人でできる人は少なからずいる。(ちなみに、自分の経験からすると、こういう人は大学でフィルターするよりも、中高でフィルターしたほうが発見確率が高い気がする。たとえば、開成・麻布みたいな名門中高出身者は、大学はどこであれ、このイケてる確率は高い。おそらく、単なる英語や数学のテクニックを学ぶのではなくて、自分自身で考え方を学ぶみたいなことが徹底されているので、社会に出たときも即戦力に近い状態になるんだろうなあと、ケンブリッジもそんなかんじでした)。

で、そういう人は自分でビジネスやったり、就職偏差値の高いところに行っているケースがほとんど。だから、最初から、この新人できそう、という期待値を上げない方が良いと思う。

で、基本は”使えない”のだけど、でも、使えないからクビ、ではなくて、あきらないことが大事だと思う。あきらめたらそこで終わり。

いろいろやらせてみる

競馬の話で恐縮ですが、競馬には未勝利戦というのがあります。だいたい競走馬は2歳でデビューして、一度でも勝てば(1着入線)次のステージに進むことができる。ただ、1着になるのは、楽ではない。ポテンシャルの高い競走馬(この例でいえば、新卒でなんでもできる君)は、あっさり勝って、春のクラシック路線(皐月賞、桜花賞、ダービー、オークス)に行けるけど、ほとんどは勝てなくて苦労する。でも、タイムリミットがあり3歳の9月までに1勝もできないと、出場できるレースがない(=引退か、地方競馬転籍)。だから、オーナー、調教師、騎手は3歳未勝利馬に対して、距離を変えてみたり、調教を変えてみたり、いろいろ試してみる。

企業の場合は、このタイムリミットはないけど、いろいろやらせてみるのは重要だと思う。たとえば、しゃべるのが苦手だからといってエンジニアとして入っても、誠実な人柄から営業に向いていたり、この仕事しかないと決めるのは早いと思うので、いろいろやってみるのがよいと思う。 

きっちり原因を究明する

何をやるかについて、考えることはとても大事だけど、一度、決めたら、あれこれ口を出さない。自分が、おおらかな環境で育ってきたこともあり、箸の上げ下げまで指導されるのが苦手というのもあるけど、やっぱり、やることなすこと逐一ダメ出しされていては、結局、委縮してしまって何もできない。

むしろ、重要なのは、何が上手くいって、何が上手くいかなかったかをきちっと原因の究明をすること。

その中に本人の誤りがあれば、糺すべきだし、失注とかビジネスに影響を及ぼす場合は、監督者・上司が責任をとるべきだと思う。

旧日本海軍元帥山本五十六は、人を動かすコツについて、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』と指摘しましたが、人を育てるのも、まさにこれなんだなあと思うのでした。

営業で仕事を受注できないときは?

7月 22nd, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 独立 | 経営 | 長橋のつぶやき - (営業で仕事を受注できないときは? はコメントを受け付けていません)

先日、某社のとある新卒3年目くらいの若手の営業から、

”いくら営業しても仕事が受注できないんです。やっぱ、自分は営業向いてないんですかね?”

という話をして、気づきがあったので、シェアします。

自分も口が上手い方でもないし、お客さん受けするようなコミュニケーション能力に秀でているわけではないけど、最近、自分で独立して営業をやるようになって(正確にはアナリストのときも営業っぽいことはしていた)、一つ言えることは、

”一回で受注できることは普通ない”

ということ。

B2Cならいざ知らず、自分がターゲットとしているB2Bのたとえばシステムを売るような場合、まず1回話して、”じゃあ、買いましょう”というケースはほとんどない。

欲を言えば、商談一回で決まったほうがいいけど、こればっかりは、やっぱり難しい。

結局のところ、ビジネスは信頼関係だと思う。やっぱり、同じものを買うにしても、ちゃんと信頼できる相手の方が良いに決まっている。

で、信頼関係は、一回会っただけでは、やっぱり、成立しない。

何度も何度も相手と向き合い、ときには摩擦をし、お互いを理解することで、信頼関係が生まれるんだと思う。

もちろん、出身地が同じ、高校・大学が同じというのは”信頼”を築くうえで重要な要素ではあるけど、それが必須というわけでもない。

やっぱり、信頼関係を築くには、何度も会うしかない。ほんの小さな理由でもアポをもらって、話をして、提案して、ダメでも、また次のネタを探す。

という意味で、ダメなのは、一回会ったから駄目だった、ということであきらめること。本当に受注したいのであれば、何度も何度も喰らいついていくべきだと思う。

相撲界には「三年先の稽古」という言葉があります。

力士としてのけがをしないカラダ、自分の相撲にあったカラダは1,2カ月の稽古では作れない。だからこそ、3年先を見越して、稽古をすることが重要だと。

営業もこれに似ているかもしれない。今日の受注に一喜一憂するのではなく、さすがに最近の会社は3年も待ってくれないけど、お客さんと時間をかけて信頼関係を築く。

だからこそ、はじめて会っても、仕事が取れないと嘆くのではなく、信頼関係を築く一歩とポジティブに考えようと。

顧客満足度と標準化

7月 6th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (顧客満足度と標準化 はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

最近、ITによる省力化みたいなことを考えていて、そのなかで、先日、郵便局でこんな場面に遭遇しました。

大きな郵便局は土日もやっていて、そこで書留・荷物のピックアップができる。で、先日も、書留をピックアップしようと郵便局にいったらえらい行列ができていた。

その行列の原因は二つあって、一つは、書留をピックアップするために身分証明書を提示しなくてはならず、その人は今身分証明書がなく、10日後にできるから何とかほしいとゴネていた。

もう一つは、不在届を持参せずに、”1週間前、ロンドンから来た荷物”と曖昧なリクエストを出して、郵便局員が困り果てていたパターン。

こういうパターンはなかなか難しい。やっぱり、郵便局員のミッションは、顧客満足度を上げることで、お客さんのためになんでもやります、という態度は重要だけど、曖昧なリクエスト、規定外のリクエストに対応しようとすると手間がかかり、かつ、行列は長くなってしまう。

となると、やっぱり、標準化は必要な気がする。不在届がない場合、すいませんが、お出しできません。現在、身分証がない場合は、すいませんが、お出しできません、みたいな。

標準化のなかにおもてなし、これが理想の姿なんだけど、これは楽なようで難しい。でも、これをやらないと付加価値が生まれないと思ったのでした。

アジャイルな組織

7月 1st, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (アジャイルな組織 はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

自分はあまり外食するタイプではないけど、たまに外食にいくといつも新しい発見があります。この発見も、先日、某チェーン店にいったときのこと。

景気も良くなっていることもあって、どこのチェーン店も人手が足りない。それはそれとして仕方ないものの、どう対応するか、店長によって2つのパターンがあると思う。

まず、一つのパターンが、“店長ずら”をしている店長。決められた店長業務以外は、すべて、スタッフ、あるいは、バイトに任せて、それ以外のことはしないタイプ。オペレーションを遂行する上で、所定の人数がそろっているという仮定では、この“店長ずら”は成立する。でも、昨今の人材不足ぶりからすれば、所定の人数が足りない場合が多い。したがって、テーブルに前の客が残した皿等が散らかっていて片付けられていない、注文したものが待てど暮らせど来ない、ということがしばしば発生する。

もう一つのパターンが、店長が、プレイングマネージャーのように、バイトのカバーに入ること。たとえば、店長が焼き鳥を焼くのが職務ながらも、バイトが忙しかったら、注文を取る、できたものを配膳する、など、店長が一番汗をかくタイプ。

自分の理想のタイプは、やはり、後者。先日、上梓させていただきました恐竜本のテーマは、アジャイル。数人の小さなチームでも、ある時はプログラマー、あるときは、デザイナーと一人何役をこなすことで、はやいスピードでリリースまでこぎつける方式。

で、このアジャイルでの難しい点は、複数の役回りをテキパキできる人が少ないこと。こうした人材はすぐ育つものではない。だからこそ、手塩をかけて、様々な部署で経験をさせなければいけないのだと思う。

やっぱり、景気が良い時はどこも儲かっていると思うけど、一旦、景気が悪くなると、やはり、残る企業は店長を含めたトップが汗をかけるタイプなんだと思うのです。

成長することはよいこと?

6月 9th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 - (成長することはよいこと? はコメントを受け付けていません)

最近思うこと。

世の中には、たくさんの”成長”がある。

子供がすくすくと育つのも”成長”だし、企業の場合では、ビジネスを大きくするための”成長戦略”のプランを自分も書いていたりする。

で、成長することはよいことか?

もちちろん、子供の場合は、育ってもらわないと困るので、成長しないといけないし、企業の場合でも、ビジネスが大きくならないと、食べていけない。

というわけで、成長することは良いことだ。成長なくして、何も生み出さない。

ただ、思うに、”どうやって”成長させるかが重要だと思う。

というのは、子供であれば、ひたすらお稽古をさせて、勉強をさせて、子供の成長にとって良かれと思っても、それが裏目に出る場合もある。

企業も同じで、成長を追求するあまり、営業にきついノルマ、あるいは、現場の店員に長時間労働を強いる、ことで、”成長”するケースもある。

自分は人の親になったことがないのでわからないけど、企業の場合は、バランスが難しい。

というのは、”みんな自分の好きなことやっていいし、好きな時間働いていいいよ”と自由放任にする会社は基本的にうまくいかない、やはり、社員がルーズになってしまい、会社に規律がなくなり、別に、成長しなくてはいいやというモードになってしまう。

逆に、きついノルマを課しすぎると、”ブラック企業”的な、ライフワークバランスもない、自分を捨てて、会社のために身を尽くすモデルになってしまう、

と考えると、成長は重要だけど、もっと重要なのは、成長速度だと思う。

車はエンジンをかけて思いっきりアクセルを踏むとエンストしてしまう。

マラソンでも、最初から全力ダッシュでは絶対にフルマラソンは走れない、かといって、最初から歩いていてはよほどのことがない限り時間制限に引っかかってしまう。

だからこそ、長く続けることができる”速度”を決める、これが重要なんだなあと思いました。

システム開発は絶滅危惧業種になってしまうのか?―アジャイル的50の生き残り術

6月 1st, 2014 | Posted by admin in 日々の思い - (システム開発は絶滅危惧業種になってしまうのか?―アジャイル的50の生き残り術 はコメントを受け付けていません)

今年の1-3月に必死になって書いた書籍が無事に上梓されました。

どうやって新しいビジネスを立ち上げるか、そのための考えるヒント、戦い方など、いままでの経験をもとにまとめました。