先日、ある方から面白い話をお伺いしました。テーマは、「なぜ、日本のIT化は遅れているか?」ということです。たしかに、先日、発表されたIMDの世界デジタル競争力ランキングだと日本は31位(昨年は32位)と1ランク上がっていますが、シンガポール、米国などにくらべるとだいぶ溝をあけられています。
その方の話では、世界デジタル競争力を見ると、日本はモバイルブロードバンドの普及だったり、ロボットの流通だったり、ソフトウェア著作権保護などの分野では日本のレベルは高いものの、国際経験、デジタル技術スキルが低いことが要因だと。たしかに、最近は大企業では、デジタル技術スキルを向上する研修などが必須のところが増えていますが、中小企業などでは、なかなかそこまで手が回らないですよね。これは実感として納得できるものであります。
さて、この話で思い出したのが、IBMの話です。いまは大分変わってしまったと思いますが、かつて、外資を中心にIT企業のトップ・マネジメントの大半がIBM出身者で占めていました。オラクルとかセールスフォースとかですね。そして、実際にIBM出身の方に、「どうしたらIBMは人材輩出企業になれたのでしょうか?」と聞いたことがあります。その答えは「とにかく研修といった学びの機会が多かった。単なるスキルだけではなく、いろいろな研修を受けたことが役に立っていて、IBMには継続して学習する文化がある」という回答で、なるほど、ハラオチした記憶があります。
自分の感覚だと、プログラミング、データ分析、AI、クラウド技術のようなデジタル技術スキルは、日進月歩で進化するので、「一回勉強すればスキルが身につく」、という話ではなく、継続的に学習をしないと、すぐに陳腐化、磨いたスキルが錆びてしまうように思います。実際、自分もその昔、プログラミングをやっていましたが、今はほとんどやっていないので、プログラミングの考え方自体は理解していますが、スキルとして使えるようになるには相当なリハビリが必要そうです汗 という意味で、デジタル技術スキルの場合、「継続して学習する」という要素がきわめて重要な分野と思われます。
こうした継続的な学習が必要なデジタル技術スキルをどう取得するか?自分の場合は、幸いなことに大学・大学院の時代にこうしたスキルを取得できる機会がありました。が、これは独学ではできなくはないですが、相当の努力が必要そうです。なので、IBMのように、デジタル技術スキルに限らず、継続的な学習の機会を提供してくれるのであれば、これに乗っからない手はないですよね。何といっても、会社でキチンと仕事をすることが前提ですが、給料ももらえて、スキルも取得できて、さらに、継続的に学習できるので、錆びずにキープできるのですから。企業にとっては大きな経費負担ではありますが、、錆びないスキルをもつ優秀な社員を抱えることができるので、Win-Winな関係でもあります。
で、最初の話に戻ると、「日本のIT化が遅れている」という点は、IBMの「継続して学習する文化」に学ぶところが多そうです。デジタル技術スキルならびにどんなスキルでも「一回勉強すれば身につく」ものでなく、錆びないように磨き続けることに価値があるように思います。なので、デジタル技術スキルの資格もありかもしれないですが、継続的にスキルを磨く要素も必要かもしれないですね。あるいは、就職・転職する際、「どんな研修がありますか?」よりも「継続的な研修の仕組みがありますか?」の方がスキルアップできる企業かもしれないですね。